【追う!マイ・カナガワ】二つある「新子安歩道橋」の悩み(上) 通学時大混雑、保護者はドミノ倒し危惧

二つある「新子安歩道橋」の位置関係

 二つある「新子安歩道橋」が、地域の悩みの種だという。横浜市神奈川区の市立子安小学校の通学路である国道・新子安歩道橋(地図【1】)は児童数増加に伴い、3年前に改修計画が始まったものの、今も未着工だという情報が「追う! マイ・カナガワ」取材班に寄せられた。地元の期待と裏腹に改修が進まず、近くの市道・新子安歩道橋(地図【2】)は混雑し、パンク寸前という。新子安で何が起きているのか。

◆パンク寸前 校長も懸念

 希望にあふれた新学期のある朝。JR新子安駅北側の市道・神奈川産業道路に横浜市が設置している新子安歩道橋(地図【2】)では、子安小の子どもたちが長蛇の列を作り、色とりどりの傘の花が咲いていた。

 児童数1100人超は市内339校でも3番目(昨年度)に多い。校舎が手狭になり、2018年4月に現在地の新校舎に移転したばかりだ。

 全児童の半数以上が利用するという同歩道橋の数珠つなぎは約20分にも及んだ。すれ違う通勤者と傘が当たるなど、雨天時の子どもたちの歩みは遅い。

 列を見守る保護者が「誰か一人が転倒したらドミノ倒しになるぐらい危険。サラリーマンの方からは『速く歩け』と強く言われたこともあります。少しでも分散して登校できればいいのですが」と漏らす。

 さらに、歩道橋に隣接する子安小旧校舎跡地では、180戸の大規模マンションを建設中だ。来春には入居が始まるだけに、同小の大島宏二校長は「マンションが完成すれば児童約100人が長蛇の列に加わる。このままではパンクしてしまう」と心配を募らせる。

◆解決策のはずが

 毎朝の大渋滞の解決策となるはずだったのが国道1号をまたぐ「新子安歩道橋」(地図【1】)の改修工事なのだが、神奈川産業道路をまたぐ新たな橋桁(地図【3】)を新設する計画が3年間もストップしている。

 国道1号と産業道路は交通量が多いため、横浜市立子安小は児童に横断歩道(地図【4】)の使用を禁止している。そのため国道1号の北側から通う約100人の児童が毎朝、【2】への迂回(うかい)(地図【5】)を余儀なくされている。

 改修計画が子安小や保護者、近隣住民に伝えられたのは2019年2月だ。国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所が配布した資料には21年度中の完成プランが描かれている。しかし、入札業者が現れず、今年3月に完成延期が地元に伝えられた。

 「児童のためにより安全な通学ルートにするため、早急に新しい歩道橋を完成させてほしいのですが…」と大島宏二校長。関係者の思いは膨らむばかりだ。

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