全国各地に塩専門店ができたり、ソルトコーディネーターという資格が話題になったりなど、近年では「塩ブーム」といっても良いほど塩に注目が集まっています。
そんななかこの春、能登の伝統的な製塩方法をテーブルの上で体験できる〈塩づくり体験〉プログラムがスタート。おいしい天然塩が自分で作れると聞いて、さっそく取材に行ってきました。
体験できるのはこちら!
体験できるのは、能登の玄関口に位置する『和倉温泉 ホテル海望』内のレストラン『NAGISA DINING』。
『NAGISA DINING』はホテル内のレストランですが、宿泊していなくても気軽に利用することができます。
ちなみに2021年4月現在は、朝食と夕食での利用も可能。筆者個人的には、海を目前にしたカウンターでの朝食利用を超絶オススメします。凪いだ海を目前に朝食をとれば、最高な一日のはじまりに心が満たされますよ。
〈塩づくり体験〉プログラムとは?
さて、話を〈塩づくり体験〉プログラムに戻します。
このプログラムでは、珠洲に伝わる伝統的な製塩法であり500年の歴史を持つ「揚げ浜式製塩」の一部を、テーブルの上で気軽に楽しむことができます。
教えてくれたのはこの方!
教えていただいたのは『NAGISA DINING』スタッフの土屋さん。
能登が誇る素晴らしい文化を少しでも多くの方に伝えたいとの思いから、このプログラムが立ち上がったそうです。
土屋さん:歴史や文化はもちろんですが、能登の塩の「美味しさ」を皆さんに実感いただければと思います。能登のお塩は本当に美味しいんですよ!
使う道具と材料はコレ。
材料と道具がテーブルの上にズラリと並べられています。自分だけのセットというのが、なんとも嬉しいですね。
材料となるのは、奥能登塩田村で作られた「かん水」。
「かん水」とは、「塩田」と呼ばれる砂地に海水をまき天日で乾燥させ、その砂を集めてさらに海水をかけ、塩分濃度を24〜25%までに高めた水のこと。
実際に体験してみました!
まずは、かん水を器に移します。
バーナーに火をつけ、コンロにセット。
火にかけて10分ほどで沸騰したら、いったん火をとめて観察します。
すると…
あれっ?
あれあれっ???
塩の結晶だーーーー!
土屋さん:人によって結晶のでき方も変わるんですよ。
再度バーナーに火をつけて炊いていくと、透明だったかん水がどんどんクリーミーな質感に変化していきます。
土屋さん:ここからはしっかり手を動かして「手塩にかけて」塩を育てて行きますよ!
土屋さん:良い感じに煮詰まりましたね。次は余分な水分を絞っていきますよ!
煮詰まった塩水を、こぼさないようにペーパーの容器の中に入れます。
ペーパーをくるっと丸めて、余分な水分を絞ります。
絞って出てきた水はなんだろう…?
塩辛いのかなと舐めてみたら…なんとも苦〜い!
土屋さん:これは「にがり」なんですよ。
さてお次は、キッチンペーパーを広げて、水分を絞った塩を広げて行きます。
なお、この段階ではまだ塩は未完成。
にがりが完全に乾いていないので、少し苦味を感じるお味となっています。
ちょっと味見してみると、
この段階でも抜群に美味しい…
土屋さん:能登の海はミネラルが豊富なので、塩辛いだけじゃなくて、旨味がギュッとつまっているんですよ。
ある程度乾いたら、ペーパーに包んでお持ち帰りセットの袋に入れます。
今日作った塩は、家に帰ったら広げて2〜3日乾かしたら完成とのこと。
どんな塩に育つのか楽しみです!
土屋さん:お塩の味は「十人十塩」。煮詰め方や火加減によって味が変わるのが面白いんですよ。
後日談…
塩を乾かして3日後、作った塩を味わってみました。
もちろん塩の味はするのですが、まったく塩辛くないのに驚きました。甘ささえ感じるような、優しくてふくよかな味わいは、塩の固定概念を崩すほど。
塩って、こんなに旨味がするんですね。
シンプルに塩握りとお野菜につけて食べたのですが、それが美味しいこと美味しいこと。
次は、お肉やお魚で試してみたいと思います。
現在〈塩づくり〉体験プログラムは『NAGISA DINING』営業日の毎朝10:00から行っています。
NAGISA DININGで朝食をとって、少しゆったりしてから塩づくり…なんて休日はいかがでしょうか。
なんとも贅沢な気持ちになれること請け合いです。
NAGISA DINING
ナギサダイニング
石川県七尾市和倉町和歌崎部12-3 ホテル海望
TEL.0767-62-1515
営業時間/7:00~9:00、17:00〜21:00
定休⽇/火曜日、水曜日
[塩づくり体験]
体験時間/10:00〜、15:00〜(体験所要時間60分程)
内容/塩づくり体験(おみやげセット付き)
料金/3,520円
URL/EXPERIENCE by NAGISA DINING
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/佐藤江美、撮影/林 賢一郎)