燕の21歳主砲・村上に滲み出る貫禄 燕OBも称賛「まさにリーダーという感じ」

ヤクルト・村上宗隆【写真:荒川祐史】

好調要因の一つは「リリーフが頑張っている」

昨季まで2年連続最下位のヤクルトが、セ・リーグを盛り上げている。29日時点で13勝10敗4引き分け。阪神、巨人を追う位置にいる。現役時代にヤクルト、楽天で外野手として活躍し、7度のゴールデングラブ賞を受賞した野球評論家・飯田哲也氏に好調の要因を聞いた(成績はすべて29日時点)。

今季のヤクルトは若手野手が台頭。山崎晃大朗外野手、塩見泰隆外野手らが成長し、不安視されていた投手陣でも抑えの石山泰稚を中心に近藤弘樹、マクガフ、清水昇ら救援陣が奮闘している。「今年のチームには一生懸命さを感じるし、昨年までと比べると粘り強い。リリーフが頑張っているので、接戦に持ち込むことができています」。

打線では新外国人のオスナ、サンタナが1軍に合流。投手も昨年までソフトバンクに在籍したバンデンハークの1軍昇格も間近とされ、今後に向けての好材料もある。開幕直後には主力選手数人が新型コロナウイルスの影響で離脱する不運もあった中でチームが現在の位置にいるのは、2人の主力選手の存在が大きいという。

「ヤクルトは山田、村上のチームです。この2人が打てば今後も上位を狙えると思います」。飯田氏が指摘したように、セ・リーグの本塁打部門では村上と山田が10本でトップに並ぶ。打点では村上が22打点で3位タイにつける。

「村上は貫禄が出てきました。ベンチでよく声が出ているし、盛り上げ方もうまそう。落ち込むこともなさそうだし、いい選手に育ったと思います。まさにリーダーという感じですね」。高卒4年目にして風格さえ滲み出る村上に賛辞を送る。

山田には「常に試合に出場してほしい」

一方で守備面には不安があるとされているが、メジャーでも活躍したかつての同僚・岩村明憲氏の例を上げて、課題は解消されていくと指摘する。

「岩村も最初の頃は守備に不安がありました。でもしっかり取り組んだ結果、ゴールデングラブ賞の常連(6度受賞)になるほど上達しました。守備はやればやるほどうまくなるものなので、村上にも期待しています」

山田は近年、ケガに泣かされることが多く、今季も開幕直後に3試合先発を外れたが、4月6日の広島戦からは「3番・二塁」で試合に出続けている。「数字的にはまだ物足りないところもありますが、最近はうまくタイミングを取れるようになってきました。ようやくいい時の状態に近づいてきたように見えます。ここ数年は体調が万全ではなかったようで、動きを見ても痛々しそうでした。今も万全ではないと思いますが、内容も良くなってきました」。

トリプルスリーを3度達成するなど圧倒的な実績を誇る山田には、数字以外にも期待するものがあるという。

「あれだけの選手なので、少々痛いところがあったとしても、常に試合に出場してほしいと思っています。山田がスタメンにいないと、僕もそうですが、周囲のみんなもがっかりしてしまいますよね。調子が良くても悪くても試合に出るのが主力選手。休みながらでは調子も戻ってこないですから」

今年のセ・リーグは阪神と巨人が2強を形成する構図で他の4球団はどこも決め手に欠けると言う飯田氏は「逆に言えば3位争いが面白そう。ヤクルトも十分に狙えると思います」と古巣に期待する。前年最下位から2位に躍進した2018年の再現には、2人の主軸選手の活躍が欠かせない。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

© 株式会社Creative2