新潟県農業大学校(新潟市西蒲区)がスマート農業学習の一環としてドローンと無人田植機による播種を実施

新潟県農業大学校稲作経営科は30日に新潟市西蒲区の圃場で、学生のスマート農業学習の一環として、ドローンと無人田植機による播種を行った。

県内や米農家のみならず、農業人口の減少と高齢化は深刻な問題となっており、ICTによる省力化とナレッジマネジメントには大きな注目が集まるところだ。今回、農業大学校では株式会社新潟クボタ(新潟市中央区)の協力により、スマート農業の最新技術であるアグリロボ田植機「NW8SA」と薬剤散布ドローンを用いた2種類の水稲直播を学生たちが体験した。

アグリロボ田植機に乗り水田の外周にマッピングする農業大学校の学生

種を補充するドローン

アグリロボ田植機「NW8SA」による自動運転は、GPS衛生からの情報により2から3センチメートル単位の正確な運転が特徴であるといい、条間や条数の制御も可能となる。今回の実演では、農業大学校の生徒が搭乗して水田外周をマッピングしたのちに自動運転による播種が行われ、無人にも関わらず切り返しを行う様子に生徒たちは驚きの声をあげていた。

またドローンは農薬散布に用いられる物を転用しており、設定された量と区間を自動で飛行する。また、飛行情報と作業情報をクボタの圃場管理システム「KSAS」の電子地図に連動可能である。

農業大学校では、水田の水位や温度を管理し、スマートフォンのアプリで情報の共有や遠隔操作が可能な給水機なども実際に使用している

今回アグリロボ田植機とドローンが実施した水稲直播も、苗作りのための労力やビニールハウスを使用する手間が省けるという点で省力化が期待されており、現在三条市の栄などでは直播のみで米を生産している農家もいるという。

一方で、直播には発芽・苗立ちの安定性に欠けるという欠点もあり、それを補助するために今回のドローン種まきでは苗腐病などを防止する最新のコーティングを施した種が用いられたが、既存の鉄コーティングと比較してコスト面の課題もある。現在は、苗箱1箱あたりの苗数を増やして箱数を減らす高密度播種苗栽培が技術面でもコスト面でも一般的だという。

同時に、今回の無人田植機やドローンも一般農家にとっては大きな投資となることから、現状では大規模農家や農業法人の利用が現実的だ。しかし、農業のDXはこれからさらに強く求められていくポイントであり、今回最新技術を体験した学生たちが今後どのように思考していくか注目だ。

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