カーネーションで家を明るく 「母の日」控え 長崎県内出荷最盛期

競りに掛けられるカーネーション=長崎市田中町、長崎花市場

 9日の「母の日」を控え、長崎県内でカーネーションの出荷が最盛期を迎えている。昨年は新型コロナウイルス禍に伴い、前の年に比べ出荷量が落ち込んだものの単価は横ばい。関係者は今年も昨年並みを見込んでいる。
 長崎県は、全国的にも有数のカーネーション産地。県によると、2019年産の栽培面積は1位の長野県などに続き、全国5位の1530アール。出荷本数は同6位の1510万本。
 長崎市田中町の長崎花市場は同市近郊や大村市などに出荷。新型コロナの影響を受けた昨年は、母の日1日に限定せず、5月を「母の月」とし消費喚起を図った。同市場によると、カーネーションは他の花に比べ日持ちがよく、品種も100種類を超え豊富。「母の月」のPRは今年も継続する。
 新型コロナ禍は花卉(かき)業界にとっても打撃を与えた。冠婚葬祭の中止が相次ぎ、消費が大幅に減少。「母の日」までの約2週間の長崎花市場のカーネーション出荷量をみると、19年の17万400本から20年11万8800本へと大幅に減少。新型コロナ禍に伴い輸入や注文が減ったことが要因だった。出荷量は減ったが、需要減少を見込んで単価は上がらず横ばいだったという。市場の関係者は「今年は少しでも出荷量を増やし昨年並みを維持したい」と力を込める。
 一方、外出しづらい中、小売店が取り組む通信販売の需要は伸びた。長崎市内で小売店4店舗を経営する石田渉さん(52)は「営業する店舗では前年度比110%の売り上げを目標にしている。巣ごもりに伴い家族の絆が強まったと思う。外出しづらいときだからこそ家の中を明るくするのが花」と需要増に期待する。
 長崎市と西彼時津町で花屋を営むオランダ屋企画(同市)は、店頭で購入した客にカーネーションとスパークリングジュースのセット購入を勧めている。カフェ運営もする同社。担当者は「あれもこれも贈りたい人向けの企画。母の日に花を買う人を増やしたい」としている。

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