WEC代表、第2戦以降も「LMP2の性能を下げることはない」と追加調整の意図を否定

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 WEC世界耐久選手権のフレデリック・ルキアンは、LMP2が新しいハイパーカーカテゴリーのペースを超えないようにするためのプロセスの一環として、2021年シーズンはすでに実施されている以上のパフォーマンス抑制措置をとらないことを確認した。

 WECの上から2番目に該当するプロトタイプフォーミュラは、LMP1から通常のサーキットで約5秒、ル・マンの舞台であるサルト・サーキットでは約10秒遅くなるように設定されたル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に基づくハイパーカーよりも遅くするため、これまでに2回パフォーマンスの抑制が行われている。

 LMP2に対して行われた最初の制限はエンジン出力制限で、従来よりも40hp低い560hpとすることが2019年末に発表された。その後、シミュレーションとトラックテストを経て2度目の調整が入り、さらに27hpの出力低下と全車に対して20kgの重量追加、さらにローダウンフォース仕様のエアロキットを装着することが義務付けられた。

 これらの対策を講じたにもかかわらず今週、スパ・フランコルシャンで行われたプロローグ(公式テスト)では4セッション中3つのセッションでLMP2カーがトップタイムを記録し、トヨタの新型ハイパーカーと今季に限り出場が認めらているアルピーヌのLMP1ノンハイブリッドカーを上回っている。

 シリーズのオーガナイザーであるACOフランス西部自動車クラブはプロローグの後、予選でトヨタGR010ハイブリッドがポールポジションを獲得した週末のスパ6時間でハイパーカーとLMP2のパフォーマンスを変更しないことを宣言したが、この動きは今シーズンの残り5つのラウンドにも適用される。

「これが物語の始まりであることを思い出す必要があると思う」と、ルキアンは金曜日に記者団に対して語った。

「誤解のないように言っておくが、それは答えなくないからではない。しかし我々は皆、この件に関して冷静にならなければならない」

「私はシーズンを通してパフォーマンスが変化する可能性があると考えている。なぜなら、これはほんの始まりにすぎないのだから」

「我々はレースが終了するまで、いくつかの事実が明らかになるのを待つつもりだ。現時点では、もちろん大きな驚きではないと思う。レースが終わり、私たちが見ることのできるすべてのデータを手に入れた後で、何かをする必要があるかどうかを判断する」

「そのなかで私たちが信じているのは、LMP2には手を加えないということだ。彼らのパフォーマンスを今より下げることはない」

ARCブラスティラバの44号車リジェJS P217・ギブソン

■ハイパーカーの調整はスパの結果次第

 LMP2カーのパフォーマンスレベルが現在の400kW(536hp)のエンジン出力と、950kgの最低重量に保たれることが確認された後、プロトタイプクラス間の階層化の焦点はハイパーカーの性能にブレイクスルーを与えられるかどうかに絞られた。

 今季のハイパーカーはTGRが走らせる2台のトヨタGR010ハイブリッドと開幕戦をスキップしたスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスの007 LMH、アルピーヌのLMP1ノンハイブリッドカーで構成されている。

 プロローグではLMP2カーの後塵を拝した彼らだが、アルピーヌは金曜のフリー走行2回目で、トヨタは同3回目でそれぞれトップタイムを刻んだ。また、トヨタGR010ハイブリッドは予選でも速さをみせ7号車と8号車でフロントロウを独占した。

 ハイパーカー・カテゴリーのパフォーマンス調整について、ルキアンは次のように述べている。

「そうするつもりだとは言っていない。なぜなら、我々は(彼らにペースを改善する)可能性があると強く信じているためだ」

「これは新しいカテゴリーの始まりにすぎない。もちろんハイパーカーがクイーンカテゴリーであり、今後もそうであるという事実に疑いの余地はない」

「週の初めから多くのことがあったが、これについては非常に明確にする必要がある」

 ACOのピエール・フィヨン会長は、土曜日に行われるスパのレース後、WECの技術チームが来週「すべてのデータを分析する」と付け加えた。

「トヨタがこのクルマを改善する可能性があるかどうか、私たちには分からない」とフィヨン氏。

「新しいクルマなので、それについて話すのは時期尚早だ。だが、ハイパーカーをLMP2の下に置かないことについては疑問の余地はない」

ショーン・ゲラエル/ストフェル・バンドーン/トム・ブロンクビスト組28号車オレカ07・ギブソン
予選総合4番手/ハイパーカークラス3番手となった36号車アルピーヌA480・ギブソン