<南風>支え合う仕組みづくり

 「子ども食堂」をつくる活動が全国に広がっている。県内でも各市町村で試みが始まり、離島でも開設の動きがある。長い間、放置されてきた子どもたちの困窮に国、県が向き合い、対策が進むことを嬉(うれ)しく思う。

 私は個人で学童保育(放課後児童クラブ)を開所し、運営してきた。15年間の地域の方々との交流の中で、子育て支援の大切さと責任の重さを感じてきた。そして、すくすくと育つ子どもたちの成長を喜ぶ一方、困難を抱える子どもたちや、親たちの現状が見えるようになり、どうすれば救えるのだろうかという課題意識を持つようになった。

 最も心を痛めたのは、暴力・暴言、ネグレクトなどの問題である。保護者から虐待を受け、食事を与えられない。ライフラインの滞納でお風呂に入れず、衣服も汚れている子-。生活環境が安定していない。また、友達との関係づくりがうまく行かず学校に行けない、勉強についていけず学校が楽しくない。さらに、周囲から支援が受けられず、不登校になり、退学せざるを得なかった子もいる。

 一方、親たちも、精神疾患がある場合や、ひとり親家庭で経済的に苦しく、ダブルワーク、夜間就労など、仕事に追われ疲れている実態。そして地域から孤立しがちで、親自身も子どもが学校に行く必要性を感じていないケースなども見えてきた。子どもへの関心が希薄になり、不登校を解決できない家庭の問題が浮き彫りになっている。

 「コミュニティースクール」の活動があり、子育て支援に力を入れている地域でも、支援のネットワークからこぼれてしまうこともある。子どもの問題に焦点を当てたアプローチの必要性を痛感している。

 困難を抱える子どもたちを孤立させず、地域みんなの課題として受け止め、支え合う仕組みづくりが緊急に求められる。

(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂理事長)

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