MotoGP第4戦スペインGP:ドゥカティのミラーが5年ぶりの優勝。中上は今季自己最上位フィニッシュ果たす

 5月2日、MotoGP第4戦スペインGPの決勝レースがヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われ、MotoGPクラスはジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が優勝を飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は、今季自己ベストリザルトとなる4位フィニッシュを果たしている。

 決勝レースは気温22度、路面温度43度のドライコンディションで始まった。ホールショットを奪ったのは、3番手スタートのジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)。2番手にフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が続き、ポールポジションスタートのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は4番手に後退する。

 そして14番グリッドスタートのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)はスタートで11番手に浮上。さらに10番手にポジションを上げたが、再び14番手に後退した。マルク・マルケスは決勝日午前中のウォームアップセッションでもクラッシュを喫している。

 中上は2周目を終えて8番手。一方、チーム・スズキ・エクスターのジョアン・ミルは6番手、アレックス・リンスが7番手に浮上する。しかし、リンスは3周目の6コーナーで転倒。リンスはレースに復帰したが、ポジションを大幅に落とした。

 トップは変わらずミラーがキープし、クアルタラロが2番手にポジションアップ。3番手にはモルビデリが続く。そして後方につけるのが、8番グリッドスタートだったアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのアレイシ・エスパルガロである。

 4周目、クアルタラロが最終コーナーでミラーをオーバーテイク。ストレートではミラーがデスモセディチGP21の加速でクアルタラロに並びかけるが、1コーナーのブレーキングでクアルタラロがトップを堅守した。

 クアルタラロはトップに立つと、ラップタイムを上げる。6周目には1分37秒797を記録。これまでのベスト・レースラップを更新した。ミラーもクアルタラロのペースを追うように、1分37秒後半のラップタイムを記録。しかし7周目の時点で、クアルタラロはミラーに対し0.5秒以上の差を築くことに成功した。クアルタラロはその後もペースをキープし、アドバンテージを1秒以上に広げていった。

 その後方ではバニャイア、アレイシ・エスパルガロ、中上によって4番手争いが展開される。4番手を走るバニャイアを、何度かアレイシ・エスパルガロが交わすもポジションを維持するには至らない。アレイシ・エスパルガロは次第にバニャイアに引き離され、6番手の中上に迫られる。

 レース折り返しの13周目を終えて、トップは依然としてクアルタラロ。2番手のミラーとの差を1秒以上でキープし、すでに独走態勢を築いている。3番手にはモルビデリがつけていたが、その背後にバニャイアが迫る。そして5番手のアレイシ・エスパルガロを約0.3秒後方の中上が追う展開。マルク・マルケスは10番手にポジションを上げていた。

 15周目に入ると、クアルタラロとミラーの差がみるみるうちに縮まっていく。クアルタラロのラップタイムは、1分39秒台にまで落ちていた。ミラーなど上位ライダーが1分38秒前半のラップタイムで周回していることを考えれば、そのタイム差は歴然である。16周目、クアルタラロはミラーになすすべなくトップの座を明け渡すことになった。

 クアルタラロのラップタイムは回復せず、1分39秒のまま周回。その背後には、モルビデリを交わして3番手に浮上したバニャイアが迫る。そして18周目、バニャイアがクアルタラロをオーバーテイク。バニャイアが2番手にポジションを上げた。

 クアルタラロのラップタイムはさらに落ち、18周目は1分40秒。モルビデリに交わされ、どんどんポジションを落としていった。

 19周目、こうしたなかで中上がアレイシ・エスパルガロ、クアルタラロを相次いで交わし、4番手に浮上する。約2秒前を走るのはモルビデリ。そしてその0.2秒後方にはミルがつける。

 残り5周、トップはミラー。2番手のバニャイアに約2秒の差を築き、独走態勢を築いている。バニャイアの約0.5秒後方には3番手のモルビデリ。そしてその約2秒後方で、中上がモルビデリを追う。

 ミラーはこのままレースリーダーの座を譲らず、トップでチェッカーを受けた。2021年シーズン初優勝。2016年シーズンのオランダGP以来となる、表彰台の頂点に立った。2位でフィニッシュしたのはバニャイアで、2戦連続の表彰台獲得。ドゥカティ・レノボ・チームがワン・ツーでフィニッシュしている。

 3位はモルビデリで、インディペンデントチームのライダートップ。そして中上が4位フィニッシュを果たした。中上は得意のヘレスで2021年シーズン自己ベストリザルトを獲得。3位のモルビデリに約0.7秒差まで迫るレースを見せた。

 5位は10番グリッドスタートのミル。アレイシ・エスパルガロは6位フィニッシュを果たした。マルク・マルケスは9位でチェッカー。マルク・マルケスにとって、ヘレスは2020年に大クラッシュを喫したサーキット。フリー走行3回目で転倒し、さらに決勝日午前中のウォームアップセッションでもクラッシュしながら、悪夢を払しょくする完走を果たした。

 そしてレース中盤まで圧倒的なペースを見せながらラップタイムを落としたクアルタラロは、13位でレースを終えた。

2021年MotoGP第4戦スペインGP決勝 ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2021年MotoGP第4戦スペインGP決勝で優勝したジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)
2021年MotoGP第4戦スペインGP決勝 フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)

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