<金口木舌>国民は下衆ですか?

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 物々しく張り巡らされた目隠し。被疑者が護送される警察署構内のことではない。聖火リレーの前日の名護市民会館周辺の光景

▼復帰前の1964年の聖火リレーは、本番前にあちこちに掲げられた日の丸が米兵によって破損されたり盗まれたりする事件が発生。外交問題に発展する中、聖火の宿泊地となった名護市嘉陽は空前のにぎわいを見せた

▼変異株も拡大し、収束が見通せない今回は開催の延期・中止を求める声が圧倒的多数。1日は厳戒態勢の中、聖火リレーが実施されたが、会場周辺で反対を訴える人も。政府は「五輪の開催権限はIOCにある」(菅義偉首相)と開催国でありながら責任を放棄したかのような物言い

▼国民の不安をよそに開催に固執するのはなぜか。民放の朝の情報番組で、コメンテーターが「オリンピックがなくなると政治的につらい状況になるから何としてもやりたいという話なのか」と疑問を投げ掛けた

▼「下衆の勘繰り」と返したのは政権中枢に人脈のある政治ジャーナリスト。だが「五輪は政権の生命線」と官邸幹部は言う。成功を次期衆院選の追い風にしたい考えなのだろう。勘繰られる振る舞いは政府側がしているのだ

▼「パンとサーカス」は古代ローマで民衆から政治を遠ざけるために使われた。祭典で新型コロナ対策の不備を帳消しにするほど国民は愚かではない。