三角形のスポーツカー!? 日産が本気で市販化を検討していたEVスポーツカー「ブレードグライダー」が斬新過ぎた!

©株式会社MOTA

見た目からして異質な三角形のスポーツカー「日産 ブレードグライダー」は、2013年の第43回東京モーターショーで発表された。2010年に発売を開始した量販EV(電気自動車)「リーフ」に続く新世代のEVスポーツカーとして誕生している。単なるコンセプトカーに留まらず、2016年には走行可能なプロトタイプも登場するなど、日産では市販化の道も模索していたようだ。斬新過ぎる日産 ブレードグライダーを、写真と共に振り返ってみよう。

日産 ブレードグライダー[2013年 第43回東京モーターショー2013出展車両(参考出品)]

独創的過ぎるデルタウィング(三角翼)形状の理由は、究極の空力性能とコーナリング性能の両立にあった

電気自動車のリーフ発売を皮切りに、日産はEVのマーケットリーダーを目指すべく様々な取り組みが行われていた。第43回東京モーターショー2013で発表されたコンセプトカー「ブレードグライダー」もそのうちの1台だ。

同様にデルタウィング形状を採用したプロトタイプレーシングカー「Nissan ZEOD RC」も登場。2014年にル・マン24時間レースに参戦し世界に衝撃を与えたが、翌年には撤退してしまった

航空力学に端を発する三角翼(デルタウィング)形状のデザインには狙いがあった。電気自動車の限られた航続距離を伸ばすべく、空気抵抗を極限まで切り詰めるのが1点。

もう1点は、同時に後部の強烈なダウンフォースによる安定感により、異次元のコーナリング性能を得られる……というのが日産の説明だ。

,

後輪左右にはそれぞれ独立制御によるインホイールモーターを配置し、コーナリング時には自動的に外側の駆動輪に大きなトルクを与え曲がりやすくさせる、トルクベクタリング制御が行われる。

シートレイアウトは、車体中央に運転席を配し、後部左右に乗員2名を乗せる1+2の変則的な3人乗り。独自のドライブ感覚を乗員全員で共有出来る仕掛けでもあるという。

本当に市販化を目指していた!? 2016年には走行可能なプロトタイプも登場!

2016年版の「ブレイドグライダー プロトタイプ」

2013年当時のプレスリリースには『今後市場への導入も検討』と明記されており、実際3年後の2016年8月には走行可能なプロトタイプ版のブレードグライダーを発表し、メディア向けの同乗試乗会なども開催されていた。

プロトタイプは、より現実味を帯びたスタイリングとなった

ショーモデルとは異なり、万が一の横転の際に乗員を守るロールオーバープロテクション構造も加わり、ブレードグライダーのプロトタイプモデルは、より現実味を増したスタイルとなっている。

前後で大胆に車幅が違うレイアウトが生む異次元の走りには興味津々! しかしその後の音沙汰はなし…

前後タイヤの太さ(細さ!)の違いに注目!

ブレードグライダーのプロトタイプは、最高出力200KW、最大トルク707Nmの性能を持つ220kWの高性能リチウムイオンバッテリーを搭載。車両重量は1300kgに抑えられ、最高速度は190km/h、0-100km/h加速は5秒をマークする。

開発には、フォーミュラEのサポートにも携わり、豊富な経験を持つ英国・ウイリアムズ アドバンスド エンジニアリングのノウハウを活用した。

コックピットは至ってシンプル。ドアミラーの代わりに左右のモニターで後方を確認する, プロトタイプだというのに、内装色にオレンジとグリーンの2パターンが用意されていた辺りも市販化が近いことを予感させた
コックピットは至ってシンプル。ドアミラーの代わりに左右のモニターで後方を確認する, プロトタイプだというのに、内装色にオレンジとグリーンの2パターンが用意されていた辺りも市販化が近いことを予感させた

極端に幅の狭いフロントと、トルクベクタリング機構を伴う超ワイドなリア駆動の組み合わせによる走り、特にコーナリングの感覚などは、通常の乗用車とは全く異なったはずだ。

しかしその後の事情は不明ながら、ブレードグライダーが実際に市販化されることはなく現在に至っているのは残念な限りである。

2021年はSUVタイプのEV「アリア」、そして2022年頃には軽自動車サイズの小型EVがそれぞれ市販化される予定の日産。歴史あるフェアレディZやGT-RのDNAを取り入れた、日産らしいEVスポーツカーが再び現れることに期待したい。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:和田 清志・NISSAN]