ライコネンのペナルティへの再審理で決定が維持。規則の問題表面化も、F1エミリア・ロマーニャGPでのポイントは戻らず

 アルファロメオF1チームは、2021年第2戦エミリア・ロマーニャGP決勝後にキミ・ライコネンに対して30秒のタイムペナルティを科されたことに疑問を持ち、再審理を要求したが、5月2日、スチュワードはこのペナルティを維持する裁定を下した。

 ライコネンは、セーフティカー後方で走行中にタンブレロでスピン、7番手から10番手に落ちた。その後、8番手まで戻したが、定められたタイミングまでに元々の位置には戻っていなかった。そのため、規則ではそのままローリングスタートを行うのではなく、ピットレーンからスタートしなければならなかったのだが、ライコネンはその規則に従わなかったため、レース後、10秒のストップアンドゴー・タイムペナルティに相当する30秒加算のペナルティが科された。これによってライコネンは9位から13位に降格され、ポイントを失った。

 セーフティカーの後ろを走行中は追い越しが禁止されているが、例外がいくつか設けられている。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP決勝 セーフティカーがマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)らを率いて走行

 F1競技規則第42.6条には、セーフティカーがピットに戻る周回において第一セーフティカーライン(SC1)前であれば、ドライバーはポジションを取り戻すことができると記されている。しかし第42.6条には、ポジションを取り戻せなかったドライバーは、ピットレーンに入り、他のドライバーたちの後ろでコースに戻らなければならないと定められている。

 一方、第42.12条には、ローリングスタート時には、セーフティカーのライトが消えた後は、ラインを越えるまで他のドライバーをオーバーテイクしてはならないとある。ライコネンは、ターン13と14の間で前のグループに追いついたが、セーフティカーのライトはターン10のあたりで消えていた。

 複雑な状況のなかで、チームは一度ライコネンにポジションを取り戻すよう指示した後、それを取り消し、レースディレクターに問い合わせを行ったが、リスタートまで間がなく、指示を受けることができなかった。

 エミリア・ロマーニャGP後、スチュワードは、第42.6条と第42.12条に矛盾があることを認めながらも、ポジションを取り戻せなかったドライバーはピットレーンに入らなければならないという規則は数年前から一貫して存在するものであり、その場合強制的にペナルティを科すことが定められているため、これを曲げることはできないと申し渡した。

 アルファロメオはこのペナルティに疑問を感じ、再審理を求め、これが受理された。しかしスチュワードは、再調査の結果、F1競技規則第42.6条への違反により30秒のタイムペナルティを科すという決定を維持することを、2日に発表した。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP キミ・ライコネン(アルファロメオ)

 アルファロメオは、レース初めのローリングスタート、セーフティカー後のリスタート、ローリング・リスタートを同じ形で扱うことが、レギュレーション提案時のワーキンググループの意向であったと主張、スチュワードはその事実は認める一方で、実際のレギュレーションでは各状況によって規則が異なっており、それぞれの規則自体は明確であると指摘。スチュワードは、ポジション復帰についての規則が2018年に変更されて以来、今回のライコネンのような状況が起きたのは初めてであり、アルファロメオの当時の行動は理解できると述べる一方で、ペナルティを科すという最初の裁定を維持することを決めた。

 アルファロメオはこの裁定を受け入れるという声明を発表した。
「アルファロメオ・レーシング・オーレンは、FIAとエミリア・ロマーニャGPのスチュワードが、インシデントの再審理の後、ドライバーであるキミ・ライコネンに科された最初のペナルティを支持するという決定を下したことを受け入れる。チームは次回の週末に行われるスペインGPに集中する」

© 株式会社三栄