高級魚サヨリが原因不明の不漁 福井県内の水揚げ量、2017年から激減

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小浜漁港で水揚げされ、大きさごとに選別されるサヨリ=4月23日、福井県小浜市川崎3丁目

 若狭の春の風物詩、サヨリが不漁となっている。2017年に激減して以降、漁獲量は戻らず、2020年はとうとう1トンを割り込んだ。2021年も4月1日に解禁となったが出足は鈍い。漁業者らは「最近は温暖化のせいかサワラ、サゴシが増えた。サヨリを食べているのでは」「サヨリが産卵する海藻の漂流量が少ないのかも」と推測するが、原因は分かっていない。

 サヨリは体長15~30センチの銀色の細長い白身魚で、長く突き出した赤い下あごが特徴。福井県水産試験場によると、ホンダワラなど漂流している海藻に産卵するため、春になると沿岸に近づいてくる。福井県内では主に2隻1組の漁船で網を引く「船曳網(ふなびきあみ)」で漁獲されている。高級魚として扱われ、刺し身や天ぷらにするとおいしい。

 小浜漁港は、福井県内全体の約半分の水揚げ量を誇る。過去10年間の県内水揚げ量は、2011年の12.8トン(小浜漁港6.5トン)がピーク。12年は10.2トンだったが、13年は2.3トンと激減。「年によって極端に増減する魚種」(同試験場)という。しかし17年以降は3トン以下の低い水準で、昨年は0.6トン(同0.5トン)に落ち込んだ。

 4月23日、サヨリ漁から帰って来た男性漁師(58)=福井県おおい町=は「年々減っているが、今年も少ない」。今季は4回出漁し、うち1回はほとんど捕れなかったため途中で切り上げた。近年は昔は捕れなかったサワラや成長途中のサワラ「サゴシ」が増えているといい「サヨリがサゴシの餌になっとるんかな」と首をかしげる。

 同試験場の担当者によると、これまでサワラの胃袋を調べてもサヨリが入っていた例はない。「産卵する海藻の量にも左右されるかもしれないが、それほど研究されている魚ではないので、実際の漁獲減の理由は分からない」と話す。

 県漁連小浜支所の加藤祐二支所長(57)は「例年なら定置網にも少しサヨリが入るが、今年は全く入らない」と首をかしげる。水揚げの減少を背景にサヨリ漁に携わる漁船も減っている。「若い頃は約40組の漁船が出漁していたが、現在は2組になってしまった」と寂しげに話した。