明治時代、別荘地として開発された神奈川県藤沢市の鵠沼地区。近年、まちが変容する様子をカメラで定点観測した企画展「写真に見る鵠沼南部の変遷」が、鵠沼市民センター内鵠沼郷土資料展示室(同市鵠沼海岸)で開かれている。地元出身の建築家前田忠厚さんが30年間にわたり、約820カ所の景観、街並みの変化を記録。湘南を代表する地域の歴史と文化を次代に伝える貴重な記録になっている。
前田さんは、「砂地に松原」「玉石に竹垣」といった鵠沼の特徴のあるたたずまいを「まちの記憶」として残そうと、1990年秋から都市計画用の詳細な地図に撮影地点を記録しながら撮影を始めた。
防砂防風のクロマツなどの緑に覆われ、うっそうとした別荘地の面影を残す邸宅街に変化の兆しが表れたのは80年代だったという。