新婚夫婦「二人暮らしの適正な生活費と、家計管理の方法が知りたい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、37歳、会社員の女性。最近、40歳になる彼と入籍したばかりという相談者。新婚生活の生活費の目安はいくらなのか、どうやって家計を運営していけばいいのか知りたいと言います。FPの横山光昭氏がお答えします。

最近、彼と入籍し、同居を始めました。

今まで互いに一人暮らしだったため、二人で暮らすとなると生活費にいくらかけるべきなのかが分かりません。何にいくらをかけるのが正解なのか、適正な金額または割合を教えていただきたいです。

食費や生命保険料、こづかいなどの金額はいくらにするとよいのでしょうか。

家計管理の方法は、自分の収入から出し合う形でいこうと思っています。ただ、別々な管理をすると良くないという話も聞きますので、それぞれに管理しながらも家計を共有できるような方法があれば、それも教えていただきたいです。

【相談者プロフィール】

・女性、37歳、会社員。夫、40歳、会社員

・手取り収入:相談者月収25万7,000円、夫月収29万2,000円

・年間の手取りボーナス:相談者80万円、夫30万円

・貯金:約500万円

・毎月の支出の目安:44万6,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(ローン・管理費):13万5,000円

・食費:6万2,000円

・水道光熱費:1万9,000円

・通信費:1万5,000円

・生命保険料:2万1,000円

・日用品代:1万円

・自動車関連費:2万円

・医療費:2,000円

・交通費:3,000円

・被服費:2万5,000円

・交際費:1万2,000円

・こづかい:10万円

・その他: 2万2,000円


横山:ご結婚おめでとうございます。これからお二人の収入で家計を、どのようにやりくりすべきかというご相談ですね。家計を共有したいという心構えは、とても良いですね。

二人暮らしの生活費はいくらが妥当?

まず、はじめに気になっているのは生活費はいくらくらいが適正なのか、ということのようです。生活費は、二人暮らしであってもお子さんなどがいるご家族であっても、収入や暮らし方、将来設計等により適正だと考える金額が異なります。いわゆる「理想の家計割合」といわれるものはありますが、それが適正であるとは限らないのです。

理想の割合といったものは、いわゆる「目安」です。その通りにできる家計はほとんどなく、むしろ多くの家計がその理想的な金額からずれています。それでも、毎月の収入の中で貯金ができるようなやりくりができていれば、まずは良しと言えます。

一番良い家計は、そのご夫婦、ご家族なりに支出のコントロールができている家計です。例えば、食を楽しみたいので食費は適正な割合より多いけれど、被服費はあまりかけないようにしてコントロールしているなど。1つの支出が多くなれば、それ以外で調整できている家計が、良い運営ができている家計なのです。

ご夫婦で暮らし方や家計について話し合い、どこにお金をかけ、何を節約するか、話し合って決めていくと、良い家計が出来上がっていくのではないでしょうか。

様子を見ながらゆっくり共有範囲を増やして

「ご夫婦で話し合いを」とお伝えしましたが、これは何よりも大切です。お金の価値観を合わせ、今後どのようにお金を使い、貯めていくかが共有できると、お金の使い方にもメリハリが付けやすくなります。ムダ支出を削減するにしても、同様です。

そういう意味では、「家計を共有したい」というご相談者の考えは、とても正しいことです。あとはどのように取り組んでいくのかです。各自で記録していくのか、タイミングを決めて話し合っていくのか、収入のすべてを合わせてやりくりを共にしていくのか。やり方はいろいろありますから、試してみて、ご夫婦に合うものを取り入れていくとよいでしょう。

生活費は出し合うということですが、その出し合う範囲、つまり共有する範囲が少ないようであれば、ゆっくりと増やしていけるようにしていきましょう。ご夫婦の家計は、共有範囲が大きいほうが上手くいきやすいもの。ムダ支出も省きやすいですし、貯金の目標も立てやすく、その目標を目指して貯めやすくもなります。

家計の共有に有効なもの

家計を共有するためには、ご夫婦でよく話し合うことが大切ですが、どのくらいの支出があるのかを数字で共有するために有効なツールを活用することをお勧めします。

単純に手書きの家計簿を見せあうことも良いですし、最近ではスマホの家計簿アプリの利用も有効です。家計のように共有したい部分と、こづかいのように自分だけで管理したい部分を分けて記録することができたり、貯金額や家事分担をTo Doで表示できるものなど、様々なタイプのものがあります。

このようなツールを使うと自動で記録されるので、「なんとなく見て終わり」、となってしまうことが多くなると思います。ですがそのままにしておいても、家計の改善や整えることにつながりませんから、やはり時折、ご夫婦で支出の振り返りや貯金額について話し合うことが大切です。お子さんがいれば、お子さんにも参加してもらって共有できると、新しい発見があるかもしれません。

もともとは他人同士が一緒に暮らすのですから、この先、お金の使い方や感覚などの違いが出てくるでしょう。ですが、都度話し合うことで修正はしていけるでしょうし、金額を数字で共有できれば、互いに節約のしどころも見つけやすくなります。

上手な家計運営、やりくりはまだこれから。ぜひ力を合わせ、頑張ってください。

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