長崎で聖火リレー 本番待つランナー それぞれの願い込めて

長崎県の聖火リレーの出発式が行われる南島原市役所前駐車場特設会場

 東京五輪の聖火リレーは7日から2日間、長崎県内を巡る。周囲への感謝、励まし、恩返し-。それぞれの思いや願いを胸に、約180人のランナーはスタートを待つ。

 長崎県マスターズ陸上競技連盟の会長を務める貝原幸三さん(75)は地元の雲仙市を走る。専門は短距離で、1969年長崎国体など第一線で県陸上界を引っ張った後、40代以降もマスターズの国際舞台で活躍してきた。「今までお世話になった関係者の皆さんへ感謝の気持ちを伝えたい。ここまで来られた自分へのご褒美でもあると思っている」と聖火に思いを込めるつもりだ。
 最終日に地元の長与町を走る中野愛花さん(20)は、先天性心疾患を持って生まれ、小学生のときに心臓の手術を受けた。そのおかげで制限なく生活をできるようになり、努力を重ねて、2018年福井国体のカヌースプリントで2位に入った。今は支えてくれた長崎の関係者に恩返しするため、長崎大で教師を目指している。「この1年悩んだけど、希望を捨てず、病気と闘う子どもたちに少しでも勇気を届けたい」と意気込んでいる。
 離島でも聖火をつなぐ。07年にデビューしたシンガー・ソングライターの龍崎鬼一朗さん(38)は、地元の五島市を走る。09年からふるさと大使も務めており「応援してくれている島の人たちへ恩返しができればうれしい。コロナ禍で苦しいけど、『一緒にぎばろうよ』と伝えたい」と故郷へ思いをはせている。
 6日は長崎県のスタート地点となる南島原市役所前駐車場特設会場で出発式のリハーサルも行われた。松本政博市長は「南島原市を走る9人のランナーが元気に駆け抜け、人々に大きな感動を起こし、東京五輪への機運を高めてほしい」と期待を寄せた。


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