新緑の季節に若鯉の反攻を期待 “3連覇の呪縛”を乗り越える

守護神・栗林(左)をねぎらう小園

【取材のウラ側 現場ノート】引き分けを挟んで6連敗、借金5で首位・阪神と9ゲーム差の5位(6日現在)に沈んでいる広島で、若ゴイが新風を吹き込んでいる。栗林、森浦、大道の“ルーキー三銃士”が快投を続け、中村奨、小園、羽月ら野手もハツラツとプレー。先発候補として高卒2年目の玉村が一軍に合流するなど若手の台頭が目覚ましい。「育成の広島」の面目躍如と言える。

リーグ3連覇以降のこの3年は勝手に「以前は逆転勝ちできていたのに…」などと“あのころ”を重ねてしまっていた。もちろん、25年ぶりの優勝を待ちわびたように長い目でチームを見守るコイ党もいるだろうが、常勝を経験したことで自然とチームに求めるハードルは上がっていたのかもしれない。

一方で、これからのカープは“3連覇の呪縛”を乗り越える戦いぶりを見せてくれると信じている。球団幹部が「今はチームの過渡期なので思い切って若手を試すことも重要。失敗もあるだろうが、それを糧にしていってほしい」と期待しているように、佐々岡監督は勝利を目指しながらも新戦力を積極的に起用していく。

今後は“昔の名前”だけの起用はなくなる。チャンスに飢える若手が発奮する一方、今はベンチや二軍に甘んじる実績者たちも黙っていないだろう。若手、中堅、ベテランの競争が激化すれば3連覇時とは違った強さの新生カープが見られるはずだ。

今年も連日、上限いっぱいのファンがマツダスタジアムに詰めかけ、選手が躍動する姿に心躍らせている。シーズンが進んでいけば負けが込む時期を迎えることもあるかもしれない。新型コロナ禍によって球団としても苦境が続いている。しかし、どんなときも一丸で道を切り開いてきたのがカープ。これからも斬新な一手で乗り切ってくれると信じている。

(元本紙広島担当・千葉教生)

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