日本ハム・栗山監督「彼はスーパー・ウェポン」 逆境を打破したヒーロー・杉谷に最敬礼

チームを奮い立たせた日本ハム・杉谷

コロナ禍からチーム活動を再開させた日本ハムが、5月1日以来となる公式戦(7日、札幌ドーム)で楽天を6―1で下し、幸先の良い再スタートを切った。

この日の殊勲者は1号先制弾、中押しスクイズを決めて、ハーラートップタイ4勝の涌井に初黒星をつけたムードメーカーの杉谷拳士内野手(30)だった。

日本ハムの元気印は「(3回の本塁打は)シンカーでした。反対方向という意識がたまたま引っ掛かってあっち(右中間)へ飛んでくれた。(5回のスクイズは)後輩の(万波)中正がああいう形で出てくれてチャミ(宇佐見)が抜群のバント。本当にみんなで取った1点ということで2人に感謝です」と得点場面を振り返った上で、この日の勝利の意味をこう語った。

「いろいろな方達から『本当に野球をやるのか』というメッセージが来ていましたけど、こうして野球ができている。何とかこの1日を乗り切りたいということで、とにかくアグレッシブに戦うことだけを考えました」

5日間の活動停止中はチームメートとの接触も許されず、時間を決めて順番にマシン打撃をする程度だった。杉谷は「練習らしい練習はできなかったですし、イメージトレーニングで集中力を高めていた」とぶっつけ本番でこの日の試合に臨んだ。そんなハンディを跳ね返せたのは「ムードメーカー」持ち前の前向きさだった。

栗山監督は「(杉谷は)スーパー・ウェポン。さすがですね。本当に何とかしようと、こういう大変な時、苦しい時に拳士みたいにどんな状況でも一生懸命やってくれる。そういう思いが結果につながっていくんだなということを感じた。本当によく頑張ってくれたと思います」と最敬礼。

「多くの方にご迷惑をかけて、野球をやらせてもらえる。本当に姿だけは見せないといけないと思っていたのでみんなそれを感じて一生懸命やってくれたことがうれしかったし、こういう思いで明日からも野球をやっていきたい」

こう指揮官は世間の逆風の中で勝ち取った意味のある1勝を噛みしめていた。

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