8回の絶好機で痛かった2度の走塁死 鷹・工藤監督が佐藤直を責めなかった理由

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

8回無死二塁で中村晃のバントは捕手前への弱いゴロに…

■ソフトバンク 2ー2 西武(7日・PayPayドーム)

ソフトバンクは7日、本拠地PayPayドームで行われた西武戦で2-2の引き分けに終わった。先発の石川が今季チーム最長となる8回2失点と好投したものの、打線が高橋ら西武投手陣から2点しか奪えず。5日の楽天戦に続き、2試合連続でのドロー決着となった。

同点で迎えた8回の攻撃がソフトバンクにとっては痛かった。先頭の栗原が西武のセットアッパー平良から中堅手の頭上を越える二塁打を放って出塁。無死二塁という千載一遇のチャンスを作った。ここでベンチは俊足が武器の佐藤直を代走に送った。

続く中村晃は定石通りの送りバント。これが力弱くキャッチャー前に転がった。一瞬、スタートを躊躇したようにも見えた佐藤直は三塁でタッチアウト。1死三塁を作りにいったが、1死一塁へなってしまった。

この場面、中村晃のバントは転がった瞬間に弱くなったのは一目瞭然だった。走者は三塁への進塁を自重しストップすることもできたかもしれない。だが、工藤公康監督は「ミスになってしまうのかもしれないですけど、走者も普通に走ればアウトだったので、あそこで止まれる工夫、ちょっとした考え、そういうのは上で経験していかないと今の佐藤くんにやれというのは酷。1軍での経験がないとあそこで冷静に判断するのは難しいかなと思います」と庇った。

このあと、甲斐が中前安打を放ち、再び1死一、三塁にチャンスが拡大、さらに松田が四球を選んで満塁に。勝ち越しへの期待が膨らんだが、明石のライナーは遊撃手の源田の正面を突いた。三塁代走の牧原大の帰塁よりも、源田の送球が一足早くなり、最悪の併殺打に。リプレー検証でも判定は覆らずに、絶好のチャンスを逸した。

2度の走塁死もあって、勝利を逃したソフトバンク。走塁を責めることはなかった工藤監督は「雰囲気はありましたよ。あと1本が難しいんですよ。それが出てこないと乗り切れない。しっかり見極めてどうさせるのか考えていかないといけないけど、8、9回はいい攻撃だったと思います」と、終盤に好機を作った攻撃に光を見出していた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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