全日CC初制覇 ジェイク・リー 16日の諏訪魔3冠戦前に退路断つ 地味な“腹攻め”に勝機

退路を断ち、すべてをかけてついに伝統の“春の祭典”を制したジェイク

全日本プロレス春の祭典「チャンピオン・カーニバル(CC)」を制覇したジェイク・リー(32)が、不退転の覚悟で3冠ヘビー級王座奪取に挑む。1か月にわたるリーグ戦を乗り越え、悲願の初タイトル獲得となったが「まだ始まりにすぎない」と不敵な笑み。人知れず退路を断って悲壮な決意で祭典に臨んでいたことを明かし、その勢いで3冠王者の諏訪魔(44)撃破を狙う。

レスラーとして勝負をかけたCCだった。まずは開幕前の2月に行動を起こし、新ユニット「トータル・イクリプス」を結成。日本語で皆既日食を意味するその名にふさわしく、諏訪魔、宮原健斗らを覆い隠す“黒き月”として、ブーイングもいとわないダークなファイトスタイルへ変貌を遂げた。

そしてもう一つ、大きな決断を下している。約5年前から活動していたボディメイクトレーナーの仕事から一線を退いたのだ。「プロレスに集中するため、ほぼすべての仕事を他の人に引き継いだ。今はごく一部のパーソナルトレーニングだけ。辞めてから3か月ほどたったけど、プロレスに集中してコンディションはつくれている。ケガもない」

それまでに履いていたわらじの片方を脱ぎ捨て、退路を断つ。それは、ジェイクなりの“けじめ”だ。「今回のCCは本当に自分にとっても全日本にとっても大事だから。俺が勝たないと全日本がダメになっちゃうでしょ? だからすべてをかける」。その思いは、3日の最終戦で宿敵・宮原を下してのCC初制覇という形で実った。

しかし「まだ終わってないだろ?」とニヤリ。次なる標的は、諏訪魔の腰に巻かれた3冠ベルトだ。16日の東京・大田区総合体育館大会のメインイベントで挑戦するが「策はすでにある」と不気味に話す。

4月10日のCC公式戦(名古屋)では有利に進めるも、とどめのジャイアントキリング(ランニングニー)を捕獲されラストライドで叩きつけられて敗北したが「諏訪魔は、一発でひっくり返す力が厄介なんだよ。でも、序盤からジワジワと体力を削ることでそうはさせない。どうする?…“腹攻め”とかいいかなあと思ってね。(柔術の)“ニーオンザベリー”とか胴締めとか…。地味で苦しーい攻撃でじわ、じわと締め上げて…、泡を吹かせてあげますよ」と自信をみなぎらせた。

全てをなげうち臨んだCCを制し、勢いに乗るジェイクは、宮原に続き諏訪魔ものみ込むのか。拡大し続ける黒き月が、王道を覆い尽くそうとしている。

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