世界中から東京五輪中止を求める声が噴出する中、皮肉にも準備は着々と進行している。すでに開催地・東京都の緊急事態宣言は今月31日までの延長が決定。新型コロナウイルスの全国的まん延は止まらないが、今月に入って各地で本番を見据えたテスト大会が行われ、8日には聖火リレーが長崎県内で実施された。
この日は新体操のテスト大会が本番会場の有明体操競技場(東京・江東区)で開催。日本代表〝フェアリージャパン〟らの選手団、運営スタッフ、関係者、ボランティアなど合計約220人が参加し、本番に向けたチェックが行われた。また、9日には国立競技場(東京・新宿区)で陸上のテスト大会が開催予定。まるで世論に逆行するように開催へ突き進んでいる。
テスト大会の準備に当たるスタッフは「我々は決められたことをやるだけ」と黙々と作業。「この状況で競技をしていいのか」と複雑な胸中をのぞかせるアスリートもいる。国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委、東京都、政府が国民の理解を得ずに前進することで、戸惑いを感じる関係者は多い。やはり〝しわ寄せ〟は現場に集まっているようだ。