【夏場所】「ポスト白鵬」現れるのか…朝乃山、貴景、正代、照ノ富士の4大関に問われる責任と覚悟

横綱白鵬は夏場所も休場…

大相撲夏場所が9日に東京・両国国技館で初日を迎える。3月の春場所で横綱鶴竜が引退。一人横綱となった白鵬(36=宮城野)も右ヒザを手術した影響で初日から休場する。その白鵬は次の名古屋場所に進退をかけて臨む意向だが、土俵の「世代交代」はいよいよ待ったなしのところまで来ている。一時代を築いた大横綱に代わり、番付の頂点に上り詰める力士は登場するのか。

横綱不在の場所で優勝争いを引っ張る役割を担うのは、朝乃山(27=高砂)、貴景勝(24=常盤山)、正代(29=時津風)、照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)の4大関だ。尾車親方(64=元大関琴風)は「どの大関も横綱を狙えると思う。『横綱が休んでいるんだから、俺たちの中から優勝しなきゃダメだ』という目標を立てて臨んでもらいたい。早く綱を張るような人が出てきてほしい」と〝横綱候補〟によるV争いを期待する。

ただ、現実の土俵は番付通りに決着しない傾向にあることも確かだ。過去4年間で大関が優勝したのは昨年11月場所の貴景勝だけ。その貴景勝も、翌場所は途中休場で綱取りに失敗している。かたや、関脇以下の優勝は11回。そのうち平幕優勝は5回を数える。優勝争いが混沌とする面白さがある半面、新横綱誕生の気運は一向に高まってこない。

尾車親方も「平幕優勝も面白いというか、エッ!?と思う意外性としては確かに沸くんだけど。4大関がそろって出てくるわけだから、それで平幕優勝とか、平幕がトップを走るようでは…。見ているお客さんに〝番付って何なんだ〟と思われないように。大関の責任は大きい」と看板力士の奮起を促した。

大関復帰を果たした照ノ富士は幕内復帰後の5場所で優勝2回、2桁白星は4回。4大関の中で随一の安定感を誇る一方で、古傷のヒザに〝爆弾〟を抱えている。また、大関陣で20代前半は貴景勝だけ。綱取りのチャンスはそう多くは巡ってこない。

尾車親方は「周りから『もう大関で終わりだろう』とか『上(横綱)に上がるような大関じゃない』とか言われても、常に上を目指さないとその地位も危うい。〝守り〟に入ったらいっぺんに相撲がダメになる。『8番勝てばいい』と思った時点で、8番も勝てない。だから常に上を目指して土俵に臨まないといけない」と力説した。

4大関は2019年の名古屋場所以来、約2年ぶり。果たして、この中から「ポスト白鵬」を担う力士は現れるか。今後の土俵の勢力図を占う意味でも、夏場所は一つの試金石となりそうだ。

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