オリンピックまであと10週あまり。選手団のワクチンの優先接種決まる一方で、戸惑いの声も

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5月14日で東京オリンピック開幕日まで10週となる。東京や大阪などでの緊急事態宣言が延長されることが決まる中、オリンピック開催の確定要素はまだない。

医療現場からの反発の声やネット署名が集まり、予定されていたバッハ会長の来日は見送られる見通しになり、自治体の海外選手の合宿受入れ断念も相次ぐ。一方、選手団に、それぞれの国・地域の接種プログラムに影響しない「追加分」となるワクチンの無償提供が決まり、各国選手団から歓迎の声が上がるが、「優先接種」に戸惑いを口にする選手もいる。

オリンピック選手団のワクチン優先接種に歓迎と戸惑い

5月7日、東京オリパラ組織委員会の橋本聖子会長は、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の5月17日からの来日を「非常に厳しいのではないか」と定例会見で述べ、予定通りの来日は難しいとの見方を示した。

一方、IOCは5月6日、東京オリパラに出場する選手団に対しワクチンが無償提供されると発表した。ワクチンは、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックのもの。各国・地域の接種プログラムに影響しない「追加分」だ。これは、朗報として多くの国で受け入れられた。

スペイン選手団600人は5月中にファイザーのワクチン接種を開始する予定で、オーストラリア、イタリア、韓国なども接種の準備を開始しているという。

カナダのパラリンピックのスプリンター、マリッサ・パパコンスタンティノゥ(Marissa Papaconstantinou)選手は、「(選手団のワクチン接種は)カナダのチームと関係者だけではなく、ワクチンが届かない国や、200以上の国から1.5万人もの選手を受け入れることになる日本の人々のためにもなる。感染拡大を心配することなく開催できる」と地元メディアに語っている。

一方で、感染拡大する地域への供給を優先すべきだとの声も根強くある。

女子1万メートル代表の新谷(にいや)仁美選手は「アスリートが特別というような形で聞こえてしまっているのが非常に残念。命の大きい、小さいはないので、五輪選手だけが優先されるのはおかしな話だと思う」と5月8日、会見で語っている。

また、ワクチンの接種が進んでも、感染拡大のフレーズにある国では、オリンピックに出場ができない選手もいる。

インドでは、各国政府による渡航制限が相次いでおり、オリンピックの予選に参加できない種目も出てきている。インドのカヌーの男女代表は、5月上旬にタイでの東京オリンピック予選を兼ねたアジア選手権に出場する予定だったが、タイの入国制限のため参加できなかった。男女陸上リレー代表も、ポーランドで開かれた予選大会に入国制限のため出場できなかった。

「ボッタクリ男爵」「日本ならできる」海外も連日報道

オリンピック開催に向けて、選手のワクチン優先接種などの動きは進むものの、海外報道は、日本の現状についても目を向ける。

5月5日から始まった東京オリンピック開催中止を求める署名活動が開始から2日間で23万人集まったことについて(9日正午時点で約30万人)、「コロナに打ち勝った証としてのオリンピック」と政府が訴える声に日本人の大部分は空虚に感じ、オリンピックに反対しているとロイター通信は伝えた。署名は都知事選に過去に出馬したこともある弁護士で元日弁連会長の宇都宮健児さんが始めたものだ。

バッハ会長を「ボッタクリ男爵」と表現したことで、日本のTwitterトレンド入りしたワシントンポストコラムでは、「日本国民の72%が、このパンデミックの真っただ中に国外から1万5000人のアスリートや五輪関係者をもてなすのは嫌であり、乗り気になれないと言っている」にもかかわらず、開催を強行しようとするIOCがはらむ構造的な問題点を批判した。

全国民のわずか2%しかワクチン接種が進んでいない現状に触れたのは、ニューヨークタイムズの記事だ。接種率は低いものの、他の経済大国と比べ死者の割合が低いことや、海外からの一般客を断念した状況を踏まえ、「様々な批判を受けるなか、日本ならウイルスを制しつつオリンピックを無事に開催できる可能性もある」と5月5日伝えている。