果樹の剪定枝、炭化し土に 循環型農業でCO2抑制

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剪定枝を焼却して生じた炭を専用の器具から掘り出す高橋さん夫妻

 サクランボなど果樹栽培が盛んな山形県東根市の農家で、果実の生育促進のために剪定(せんてい)した枝を炭にして土壌に戻す取り組みが始まっている。焼却で発生する温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の排出を抑え、炭を肥料などに活用。政府が掲げる2050年までの脱炭素社会の実現に合わせ、環境に配慮した循環型農業として普及を目指す。

 市内の約90アールでモモやサクランボなどを栽培する高橋クニ子さん(77)が2017年に炭化する専用の器具を導入し、夫義信さん(82)と共に取り組む。器具は直径1.6メートルのステンレス製。大量の剪定枝を入れて反射熱などで高温で燃やすことで煙が減り、下部の枝が酸欠状態となって炭化する仕組みだ。1回で20キロほどの炭ができるという。

 冷却した炭は畑の土壌改良材や消雪材に活用。高橋さんは「肥料と混ぜて果樹に与えることでコストが軽減し、果実の味も良くなる。積雪も早く消え、生育も促進できる」と効果を語る。ただ、枝を継ぎ足しながら高温を保って燃やし続ける手間や、炭を取り出して冷やす手間はかかる。

 剪定枝の処理は野焼きが一般的だが、量の多さや低温燃焼によってCO2を含む大量の煙が発生するのが課題だった。約20年前から環境に優しい農業を推進する「ひがしねさくらんぼ環境の会」で活動する高橋さんは「CO2を削減した農業はできないか」と考え、山梨県の先行事例を取り入れた。

 4月13日には山形県や同市の農政担当職員らを招き、炭化作業を実演し取り組みを紹介した。高橋さんは「環境に配慮した取り組みを県内に広げることで、山形の農業振興にもつなげたい」と意欲を語る。