5月は子どものサインに注意 防ごう自殺、NPOが情報発信「苦しさ受け止めて」

 2020年に過去最多となった子どもの自殺を防ごうと、NPO法人「全国不登校新聞社」(東京)などが情報を発信している。20年は5月を境に子どもの自殺が前年同月を上回り続けた。新型コロナウイルスによる学校生活への影響などもあり、同法人は「苦しさを発している子どもは多い。そのSOSを受け止めて」と呼び掛ける。

 文部科学省によると、20年に自殺した小中高校生は、統計のある1980年以降最多の479人に上った。小学生から高校生までいずれも増え、前年比で140人も増加。特に、新型コロナに関連する休校が明けた6月(45人)、休校の影響で多くの学校で夏休みが終わった8月(64人)に急増した。2020年5月の自殺者数は29人と前年同月(27人)より多く、以降の月別では年末まで19年の人数を下回ることがなかった。

 「不登校新聞」編集長の石井志昂さん(39)は「5月は学校への行き渋りや体調不良などで、心にたまったSOSが発信されやすい時期」と指摘する。新年度で環境が変化したことや、人間関係が固定されていじめが本格化することなどが背景にあるとみている。

 5月の傾向としては▽連休後に体調を崩しやすくなる▽学校行事後に登校できない▽手洗いや入浴を何度も繰り返すなど、こだわりが強くなる─といったストレスのサインが子どもから出ることがあるという。

 石井さんは保護者らがそうした兆候に気が付いたら、「心配している」と子どもに言葉にして伝え、苦しい気持ちを持っているかを聞き、耳を傾けることが重要だと強調。「子どもが『死にたい』などと言ったとき、否定せず聞くことが大事。命を優先する対応を取ってほしい」と話している。

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