38歳、貯金1300万円。住宅購入後、第2子も希望。教育費が不足しないか心配

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皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。相談者は、38歳、現在産休中の会社員女性の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

無理なく返済できる住宅ローンはどのくらいでしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、38歳、現在産休中の会社員女性の方。 第2子も希望する中、住宅購入において、どの程度なら無理なく返済できるかを相談したいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

くまりーぬさん(仮名) 女性/会社員/38歳 埼玉/賃貸住宅

家族構成

夫(会社員/41歳)

相談内容

住宅購入を予定しており、どのくらいの予算なら無理なく返済できるか相談したい。 妻(自分)は現在妊娠中で出産予定のため、1年間産休・育休をとる予定。育休中は給与3分の2ほど。復帰後はしばらくは時短勤務予定。子どもはもう一人なるべく早めに欲しいと思っている。 妻の勤務先は65歳までの再雇用あり。退職金あり(定年まで働けば1000万円超になる予定)。 妻の給与からは月10万円、ボーナス時30万円家計の貯蓄に回しているが、それ以外にも個人資産として、毎月財形、確定拠出年金を給与天引きで貯蓄。 また、定期、外貨定期、投信へ自動積立もしている。旦那の勤務先は60歳定年。再雇用不明。少ないが退職金あり。 旦那に結婚前のカードローンの借金があり、残り45万円ほど。毎月7万円返済しており、ボーナス時の繰り上げ返済を鑑み、数カ月後には完済予定。 家賃、光熱費、保険料は旦那が負担、食費、雑費を妻が負担。今は借金返済を優先し、旦那の給与からは貯蓄には回せていない状態。 また将来車を保有したいと思っており予算は400万円まで。旦那に借金があり、子どもも生まれる中、住宅購入して資金不足にならないか心配。 預金資産には入れてないが、妻には独身時代の貯蓄が900万円ほどあり、場合によっては頭金に一部充ててもいいとは思っている。

家計収支データ

くまりーぬさんの家計収支データは図表のとおりです。

相談者「くまりーぬ」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)ボーナスの使い途 家族の小遣い40万円、借金返済20万円、貯蓄60万~80万円(うち20万円財形貯蓄)、残りは不明 (2)妻の金融資産について あくまで個人の金融資産として、家計の資産とは分けて管理しているとのこと。 (3)加入保険について 1. 夫/積立利率変動型終身保険(病気災害死亡・高度障害のとき200万円、介護障害年金金額 支払期間5年・40万円)=毎月の保険料8000円 2. 夫/新収入保障保険(2043年最終払込、病気で年金支払事由・月額15万円、一括で受け取る場合・3400万円など)=毎月の保険料9000円 3. 夫/共済(入院:事故1万円/病気9000円、通院:事故3000円、後遺障害交通事故48万~2000万円、不慮の事故30万~1560万円など)=毎月の保険料4000円 4. 妻/医療保険(終身保障終身払い、入院5000円、他に手術5~20万円)=毎月の保険料2000円 (4)育児休暇中のボーナス支給について ほぼゼロ (5)購入希望の住宅購入について 一戸建て新築物件、23区内、5000万円台希望。 (6)車の購入について 「予算400万円まで」としたのは、夫は車にこだわりがあり、500万円程度を希望しているが、妻が400万円内に抑えたいと考えている。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:自己資金をいくら乗せるかで物件価格が決まる アドバイス2:繰上返済で60歳完済が望ましい アドバイス3:住宅ローンの借入額は上限4500万円

アドバイス1:自己資金をいくら乗せるかで物件価格が決まる

住宅購入において「無理なく返済できる予算はどのくらいか」というご相談です。 住宅購入の希望時期が明確には記されていないので、来年早々に購入するとします。 このときご主人42歳。住宅ローンの返済期間は完済年齢を考えると長くても25年でしょう。金利は変動ではなく上昇リスクのない固定金利1.5%とします。購入希望されている物件価格と保有資産等を考えて、借り入れは4500万円。 結果、ボーナス払いを併用しないで、毎月の返済はおよそ18万円となります。これをひとつの目安として、妥当な借入額と物件価格を考えてみます。 まずは、購入後の毎月の生活費ですが、新たな支出として住宅ローンが18万円。代わりに家賃がなくなりますので実質4万5000円のプラス。 あとは一戸建てなので、管理費や修繕積立金は発生しませんが、固定資産税が発生します。これを月割にして1万円とします。 車の維持コストも新たな支出となります。購入時期は不明ですが、試算しやすいので、住宅と同じ来年早々に購入としました。 そのコストですが、使用頻度等によっても異なりますが、希望する車両価格から考えて、ガソリン代、保険、税金、車検等の整備費用が平均して月2~3万円は発生するはず。 一方、ご主人の借金は数カ月後に完済とのことですから、月7万円のカードローンの返済がなくなります。結果、世帯支出は1万円程度増えると想定され、およそ52万円(教育費、子育て費用を除く)となります。 現在貯蓄は、いただいたデータによれば月額(投資も含む)15万5000円。他の支出が今とまったく変わらないとすれば、月のコストが1万円増えたので、住宅購入後は14万5000円となります。 ボーナスからの貯蓄は年間70万円ほどですが、カードローンのボーナスからの返済20万円もなくなります。これが貯蓄に回るとすれば、毎月の貯蓄と合わせて年間264万円貯蓄できることになります。 ご主人が60歳まで、この貯蓄ペースを継続できれば18年間×264万円となりますが、くまりーぬさんの産休・育休があり、復帰後はしばらく時短勤務。 また第2子も希望されていますので、これを繰り返すことになります。その間の減収、さらにはしばらくの子育て費用も考慮して、2年間はまったく貯蓄できないとしました。 結果、16年間×264万円で4224万円。これに現在の保有資産にカードローン返済までの数カ月の貯蓄分を50万円とし、さらに将来支給される児童手当2人分の総額400万円を加算して、資産は合計でおよそ6000万円(投資商品は元本で試算)となります。 次に、ここから定年までに想定される大きな支出を差し引きます。 まずは教育費。当然、進路によってかかる教育費は大きく変わります。 ここでは「足りなくなる」事態にならないよう、お子さん2人とも中学から私立、大学は文系と設定します。これで、ざっと1人1200万円(塾、習い事といった学校外教育費を含む)とします。 あとは車の購入費および買い替え費用。当初の購入代金が400万円で、60歳までに1回ないし2回は買い替えるはず。その費用の総計を1000万円とすれば、計3400万円。これを先の資産から差し引くと2600万円。 くまりーぬさんの退職金1000万円。ご主人は多くはいないが退職金は支給されるとのことですから、仮に300万円とすれば、退職時の残金は3900万円に増えます。 そして、順番が前後しますが、ここから住宅購入の初期費用を差し引けば、その残りが、ざっくりとではありますが、試算上割り出された、いわゆる老後資金となります。 住宅購入の初期費用とは、頭金と購入時に発生する諸費用(登記費用、司法書士手数料、ローン手数料、引っ越し費用など)の合計です。諸費用は物件価格にもよりますが、200万~250万円は見ておく必要がありそうです。 そして頭金です。希望するエリアの物件価格は5000万円台とのこと。先の試算では4500万円借り入れたわけですから、1000万円頭金を出すと、購入できる物件価格は5500万円となり、ある程度は希望価格に達したといえます。 1年以内に購入するとして、金融資産1300万円のうち、諸費用200万円を捻出し、その上で頭金1000万円を捻出すると、手元に残る資産は150万円ほど。 ほぼ生活費3カ月分ですから会社員世帯としてはギリギリの額ではあるものの、収入も高いので可能だと考えます。 ただし、問題はその捻出先の多くがくまりーぬさん名義の資産からということです。 ご相談文には「場合によっては頭金に一部充ててもいいとは思っている」とありますが、このケースでは夫婦の貯蓄の方に資金を残すなら、自身の資金は全額充てることになります。 どの程度、ご自身の資金から出すかは、ご本人の考え方や価値観次第であり、私からはいくらが妥当とはいえません。 アドバイスできることは、4500万円借り入れて1年以内に購入、諸費用200万円という設定なら、頭金の上限1000万円ということだけです。結果、購入できる物件価格は、頭金を入れなければ4500万円、500万円なら5000万円となるわけです。 もちろん、購入時期を先に延ばし、その分、頭金を増やす方法もあります。年間264万円貯められる世帯なら、2年後には500万円も増えます。 ただし、出産を控え、さらに第2子も希望されています。今後、減収が続く中、貯蓄は思うようには増えない可能性があります。さらにいえば、購入時期が延びれば、完済時期もまた延びるということ。 その分、借入額を減らすのでなければ、将来のリスクは高まります。

アドバイス2:繰り上げ返済で60歳完済が望ましい

もうひとつ考えるべきは老後です。仮に、4500万円借り入れ、1000万円の頭金、200万円の諸費用を自己資金から捻出し、先の試算どおりの家計収支が進んだとすると、老後資金2700万円となります。 老後資金は、生活費における年金の不足分を補い、なおかつ予備費でもあります。予備費が必要となるものは、住宅の修繕・リフォーム、車の買い替え、その他医療費や介護費用など。 その額は世帯によってかなり差がありますが、一般的には夫婦で700~1000万円が安心できる目安でしょうか。 くまりーぬさんの場合、ご夫婦とも厚生年金に加入されていますから、公的年金の受給額は高いと思われます。手取り額で月20万円台後半ではないでしょうか。 対して生活費ですが、先の試算で住宅購入時の生活費が52万円、そこから住宅ローン18万円を引くと34万円。 保険料の支払いも現状のままなら2万円程度減っているので、それ以外の支出が住宅購入時と同じなら32万円(ボーナスからの家族の小遣いは老後はゼロとする)となります。 もし年金額が手取り27万円なら、生活費は毎月5万円不足しますので、30年間、95歳までで1800万円。それを先の2700万円から差し引けば、残りは900万円となり、予備費としても一般的には妥当な額が確保できます。 ただし、65歳から67歳までの2年間は住宅ローンが残ります。この支払いが432万円ですから、実際の残高は468万円。やや不安を感じる額ではあります。 住宅ローンについては繰り上げ返済が解決策となります。ご主人60歳時の住宅ローンの残高は購入からちょうど18年後(216カ月)で先の借り入れの場合、1460万円ほど。 老後資金が2700万円ならこの時点で一括返済すると、手持ち資金は1340万円に減りますが、毎月の生活費が18万円減ります(節約できる支払利息は70万円ほど)。 また、60歳から65歳になるまでは老後資金を取り崩さない収入を試算では見込んでいますが、住宅ローンが完済となるため、必要な額は夫婦で手取り月額30万円程度。簡単ではないですが不可能ではないでしょう。 一方、住宅ローンの支払いが続けば、50万円近くが必要となり、相当きびしいと言わざるを得ません。その点でも、繰り上げ返済はぜひしたいところです。

アドバイス3:住宅ローンの借入額は上限4500万円

ここまでの試算から、設定した条件では、借入額の上限は4500万円ということになりそうです。 ちなみに、5000万円借り入れると返済25年間、金利1.5%で毎月の返済は20万円。増額は2万円ほどですが、それが25年間継続するというリスクは無視できません。 また、変動で借りれば、金利0.5%だと、借入5000万円でも毎月の返済額は17万8000円程度。ほぼ同額の返済で500万円も多く借り入れできますが、金利上昇リスクは残ります。 ローンで無理をするなら、家計の支出を減らす方が賢明です。現状、くまりーぬさんの家計は貯蓄ペースも高く、4500万円借り入れて、なおかつお子さん2人がともに中学から私立でも、老後資金も一定額準備できます。 したがって、「節約」ではなく、あくまで今の生活水準を維持と住宅購入資金を増やすのとでは、どちらが優先順位が高いか。それを基準に決めらたらいいのではないでしょうか。 もし、今の生活費から、食費、小遣い、雑費などを削って、月3万円コストを下げれば、定年までに2000万円近く、貯蓄額が増えます。それを住宅資金に充てるか、老後資金に充てるかは別ですが、どちらにしてもライフプランには余裕は生まれます。 将来の教育費も生活費も不確定ですし、収入だって先が読めない時代です。まずはご夫婦で、そしてご自身で資金の優先順位について考えてみてください。

相談者「くまりーぬ」さんから寄せられた感想

深野さん、ご丁寧にアドバイスありがとうございます。漠然としていた不安が、深野さんの試算で具体的にイメージでき大変参考になりました。 自己資金をどのくらい充てるかと、生活費の削減、車の必要性についても夫婦でよく相談して、住宅購入を検討していきたいと思います。 ありがとうございました。 教えてくれたのは……深野 康彦さん マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。 取材・文/清水京武

(文:あるじゃん 編集部)