【夏場所】大関復帰の照ノ富士が白星発進 師匠は「稽古不足」指摘もパワーで圧倒

極め出しで明生(右)を下した照ノ富士

大相撲夏場所初日(9日、東京・両国国技館)、大関に復帰した照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)は幕内明生(25=立浪)をきめ出して白星発進となった。もろ差しを許しながらも動じることなく、左右で抱え、持ち前のパワーで圧倒。取組後は「前に足が出たのでよかった」と淡々と振り返った。

緊急事態宣言の発出に伴い、今場所は3日目まで無観客開催。静寂に包まれた国技館は独特な緊張感を生み出した。そんな中、この一番では「(相手が)合わせてくれなかった」と話すように、照ノ富士が立ち合いを嫌う場面も見受けられた。それでも、大きな影響は感じさせず「(お客さんは)テレビの前で見て、応援してくれていると思う」と最後まで冷静だった。

春場所で3度目の優勝を飾り、2017年秋場所以来、21場所ぶりの大関返り咲きとなったが、不安がないわけではない。師匠の伊勢ヶ浜親方(60=元横綱旭富士)は場所前「ヒザの調子があまりよくない。どこまで頑張れるかちょっと分からない部分もある」と明かしていた。

古傷のヒザは先場所10日目に負傷しており、その後は痛み止めの注射を打って出場した。気になる回復状況について、伊勢ヶ浜親方は「五体満足でずっと稽古しているわけではない。やれる中でやれることやるしかないので、それはやっている」と説明する一方「稽古はちょっと足りてないと思う」とも付け加えた。

とはいえ、土俵下の高田川審判長(54=元関脇安芸乃島)は「少し入られたが、落ち着いてきめて、コントロールしていた。今日は落ち着いていたのがよかった」と評価。照ノ富士も「(15日間)全力を出して頑張りたいと思います」と言葉に力を込める。

両ヒザが悲鳴をあげなければ、今場所も優勝争いに加わりそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社