「気軽に相談して」B型肝炎訴訟 長崎原告団 10日、11日無料電話相談会

 集団予防接種を原因とするB型肝炎を巡り、国を相手に集団訴訟を起こしている長崎原告団は10、11日の2日間、無料電話相談会を開く。原告団代表の杉山良輔さん(68)は「訴訟は被害者の救済につながる。感染している方は気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。
 集団予防接種によるB型肝炎は注射器の回し打ちによって引き起こされ、被害者は全国に約45万人いると推定されている。2006年、最高裁は国の責任を認め、11年に国が正式に謝罪。被害者救済のための特別措置法が成立した。
 一定の条件を満たす人は訴訟を起こし国と和解することで、症状に応じた給付金が支給される。無症状の人はこれに加え定期検査を無料で受けることができる。杉山さんによると、県内では提訴した原告約500人のうち約400人が既に和解に至った。
 だが、被害者全体の救済には程遠い。全国で国と和解した人は約6万7千人。推定被害者数の約15%にとどまる。特に無症状者の掘り起こしが進んでいないという。
 杉山さんは30代の時、勤務先の健康診断で異常を指摘されたが、特に症状はなかった。56歳の時に初めて肝臓がんと分かり、肝臓の3分の1を切除した。その後、たまたま新聞で集団訴訟を知り、提訴に踏み切った。「まさか予防接種が原因で感染しているとは思わなかった」と振り返る。現在も投薬治療を続けている。
 「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓。自覚症状がないまま悪化し、肝臓がんや肝硬変となって突然深刻な病状が現れることもある。杉山さんは「発症前の定期検査はとても重要」として、無症状者も警戒するよう求めている。
 電話相談は10、11日の午前10時~午後4時、原告弁護団の弁護士が応じる。専用ダイヤル(電095.825.2231)。

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