迷惑千万!恐怖のロシアンルーレット 中国ロケット次はどこに落下する?

中国で打ち上げられた大型ロケット「長征5号B」(ロイター)

中国国営通信の新華社によると中国当局は9日、打ち上げた大型ロケット「長征5号B」の残骸がモルディブ近くのインド洋に落下したと明らかにした。残骸の大部分が大気圏への再突入で燃え尽きたと説明しており、被害があったかどうかは不明だ。

長征5号Bは4月29日に南部の海南島から打ち上げられ、中国が建設する宇宙ステーション「天宮」のメインモジュールを運搬。打ち上げの際に燃料を消費して切り離された1段目部分は長さ30メートル、重さ20トン以上あると見られており、大気圏突入後も燃え尽きずに地上に落下する恐れを指摘され、米宇宙軍などによって追跡・監視されていた。

ある専門家は「通常、こうしたロケットなど大型の残骸は推進装置などを使って無人の海へ誘導する。しかし、懸念を示していた米当局によれば、中国が長征5号Bの残骸をコントロールした痕跡がない」として、制御不能なまま運任せで落下してきた可能性を指摘した。

中国が長征5号Bを打ち上げるのは2回目だが、実は昨年5月に打ち上げた際はアフリカ西部のコートジボワールに破片が落下。複数の建物が破壊される被害が出ている。

安全面で不備が指摘される中国の宇宙開発には、世界中から非難の声が上がっている。NASA(米航空宇宙局)のネルソン局長は9日に声明を発表し、「中国はスペースデブリ(宇宙ごみ)について、責任ある基準を満たしていないのは明らかだ」と批判。オースティン米国防長官も6日に「宇宙領域で活動するならば、安全で思慮深く行動する義務を負うべきだ」と、暗に中国の宇宙開発を批判した。

前出の専門家は「今後も中国は軍事目的での宇宙開発を加速させる見込み。これからもどこに落ちるか分からないロシアンルーレット的な打ち上げは続く」と予想する。

地球の表面積の約3割が陸地で、人口密集地はさらに限られるが、今後も中国がロケットを打ち上げるたびに、世界中が振り回される、はた迷惑な状況が続きそうだ。

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