【NHKマイルC】4戦目でGⅠ制覇 シュネルマイスターは一流マイラーの道を歩めるか

直線で末脚を爆発させたシュネルマイスター

3歳のマイラーが集結した第26回NHKマイルC(芝1600メートル)は9日、無観客の東京競馬場で行われ、2番人気のシュネルマイスター(牡・手塚)が1分31秒6の好タイムで優勝。初のGⅠタイトルを手にした。これでマイルは2戦2勝。才気あふれる勝ち馬の今後の可能性を探る。

最後の最後で届いた。先に先頭に立ったソングラインを追ってルメールが懸命にステッキを振る。それに応えてシュネルマイスターも死力を振り絞る。馬体が離れていたため勝敗は微妙だったが、ハナだけ出たところがゴールだった。

「外枠で厳しいと思っていたけど、ペースが速かったのでミドルポジションが取れました。前走が2000メートルだったので最初は忙しかったが、馬にプレッシャーをかけないよう、徐々にリズムに乗せていきました。道中はずっとソングラインの後ろにいたのでいい目標になったね。最後はソングが少し内にモタれたのでその分、かわせました」とルメール。

4ハロン通過45秒3はこれまで経験したことのないハイペース。それでも、勝てる位置をキープして1分31秒6の高速決着を制したのだから、シュネルマイスターのマイル適性は高い。弥生賞で2着ながら早々と皐月賞を回避。この路線に切り替えた陣営の作戦がズバリはまったというわけだ。

とはいえ、手放しで喜べないのも事実。今のNHKマイルCの立ち位置といえばクラシックの狭間のGⅠ。過剰に?2歳戦の整備が進んだ今では、多少の試行錯誤はあっても、それぞれの路線は早期に決まっていく。適性はもちろん、同時に能力の値踏みも行われるため、素質馬のローテーションは分散しやすい傾向にある。

それでも同じマイル戦である桜花賞の上位組や、距離短縮を歓迎する皐月賞組の参戦があればそれなりのレベルが保てるのだが、今年のクラシック出走馬は2着のソングライン1頭のみ。これではGⅠといえども中身が伴っているかどうかは、現時点では不透明と言わざるを得ないのだ。

キャリア4戦目でGⅠ制覇は、勝ち馬の大きな可能性を示唆しているのは間違いない。「まだ背中がやわく、馬体がパンとしていない。反応が遅いところもある。これらが解消してくればハイレベルの馬になる」(ルメール)。一流マイラーの道を歩めるかどうかは今後の成長にかかっている。

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