コロナマナー意識希薄の他国選手に恐怖 日本レスリング選手団は「体に消毒液を振りかけた」

五輪出場を決めた高谷は感染症対策も万全だったが…(ロイター)

東京五輪本番へ、難題浮上だ。レスリングの東京五輪世界最終予選(9日まで、ブルガリア)を終え、日本協会の西口茂樹強化本部長(55)は大会を総括。新型コロナウイルスに対する各国の意識の違いが浮き彫りになっている。

今大会、レスリングは男子フリー57キロ級の高橋侑希(27=山梨学院大職)と同86キロ級の高谷惣亮(32=ALSOK)が出場枠を獲得。「全体的に見てよく頑張ったと思う。厳しい環境のなかで自分のレスリングを出した」と、西口本部長は全選手をねぎらう一方で、コロナ禍での大会について驚きの言及した。

「日本人はものすごく(感染防止対策を)勤勉にやる。それこそ、消毒液を体中に振りまくっている。でも周りはそこまでではなく、全くマスクをしないでわめきちらすような国が結構あります。差が激しすぎる」と、コロナマナー意識の違いを吐露。今大会も初日は「マスクをしっかりしろ」「大声を出すな」とチェックする警備員がいたが、翌日にはいなくなったという。

4月に行われたアジア予選とアジア選手権(カザフスタン)で、日本チームは帰国後に計8人の選手、役員がコロナに感染した。韓国も同様で、最終的に選手団の半数にあたる27人にまで感染が広まった。この時も、日本選手団は他国との意識の差にびっくり仰天。関係者によれば、恐怖を感じるほどで、すでに消毒液で手はガサガサ、頭から消毒液をかぶるほどだったという。それでも感染者が出てしまった。

レスリングに限らず、柔道、フェンシング、テニスなどでも検査をすり抜け感染者が出ている。「バブル開催だからと安心している面もあるのでは」(別の関係者)という声もある。国際オリンピック委員会(IOC)から各国選手団にワクチンが提供されることが決まったが、義務ではなく感染防止対策は必須。なんとも頭の痛い問題だ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社