柔道のグランドスラム(GS)カザン大会を終えた日本選手団が帰国したことで10日、女子代表の増地克之監督(50)がオンラインでの帰国取材で大会を総括した。
5~7日に行われたカザン大会には五輪代表3選手が出場。3月のGSタシケント大会に続いて優勝を果たした女子52キロ級の阿部詩(20=日体大)について「初戦では硬さがあったが、全体的に彼女らしい躍動感、荒々しさが戻ってきた。相手を倒すという気持ちが前面に出た試合内容だった」と評価。
印象に残る試合には「頭を下げてくるイヤなタイプだったが、競り合った場面でもポイントが取れた」と3回戦のアンドレア・キトゥ(33=ルーマニア)戦を挙げた上で「決勝では袖つり込み腰も警戒される中で決めることができた。足技にもつなげることができ、今回の結果は五輪に向けて良かった」と目を細めた。
同じく優勝した女子48キロ級の渡名喜風南(25=パーク24)には「相手に組ませず自分の間合いで戦うことができた。本番でも同じように試合が運べれば十分に金メダルが狙える」と話し、3位に終わった女子70キロ級の新井千鶴(27=三井住友海上)に関しては「何かプレッシャーを感じていた。3位決定戦では豪快な内股をかけられたわけだから、最初からそういう戦う姿勢を見せてほしい」と本番での奮起を期待した。
五輪前最後の大会を終え「順調にブランクを感じさせない戦いを見せてくれている。地道な取り組みがこれまでの結果に表れているが、これがそのまま五輪につながるわけではない。もう一度気を引き締めて戦っていきたい」と先を見据えた。