三菱重工が火力事業を吸収統合 長崎工場など人員再配置

 三菱重工業は10日、火力発電事業を手掛ける完全子会社の三菱パワー(横浜市)を10月1日付で三菱重工本体に吸収、統合すると発表した。長崎工場(長崎市)などの人員配置を見直し、脱炭素化への対応を加速させる。各事業所の再編内容は未定としている。
 三菱重工は火力や造船などの市場縮小を受け、3月までに国内1500人以上の配置転換を完了。今回さらに火力、民間航空機、商船の3部門を中心に1500人規模を伸長分野にシフトさせる。このうち三菱パワーが担う火力は2024年3月時点で20%減、三菱造船(横浜市)や三菱重工海洋鉄構(長崎市)の商船部門は22年3月時点で25%減を予定している。
 三菱重工によると、三菱パワーの吸収・統合で運営を効率化。火力発電システムの脱炭素化と、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニアを活用するシステムの構築を同時並行で加速させる。組織や事業所の見直しについては「最適な形を検討中」とした。
 三菱パワーは14年、三菱重工と日立製作所が火力発電事業を統合し発足させた三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が前身。三菱重工が20年9月に全株式を譲り受け社名変更した。だが急激な事業環境の変化を受け、わずか1年余りで国内で名称が消えることになった。


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