中日・根尾、ようやく打率2割でもスタメンである“正当性” 12球団トップの数値とは?

中日・根尾昂【写真:荒川祐史】

ここまで26試合でスタメン出場、5月の打率は.412と上り調子

プロ3年目で初の開幕1軍をつかみ、奮闘を続けている中日の根尾昂内野手。4日のDeNA戦(バンテリンドーム)ではプロ1号となる満塁本塁打を放ったものの、打率は1割台と低迷してきた。8、9両日の広島戦(同)で2試合連続で2安打を放ち、ようやく2割台に。打撃で存在感を見せているとは言えない中、スタメン起用が続くのはなぜか――。データでは、打席以外での大きな貢献も示している。

根尾はここまで28試合に出場し、打率.217(83打数18安打)、11打点、1本塁打をマーク。チームが36試合を消化した時点で、26試合に外野でスタメン出場している。打順は主に下位の8番。得点圏打率.208と物足りなさも感じるが、首脳陣は二十歳の若き才能に1軍舞台で経験を積ませている。

もちろん、外野陣の“役者不足”も根尾には追い風となっている。平田良介は不調で2軍調整中。代わりに1軍登録された新助っ人のマイク・ガーバーは昇格後の8試合で打率156、0本塁打、1打点と低迷し、9日の広島戦(同)ではついにスタメンを外れた。根尾が初めて右翼に回ることになり、福田永将が左翼でスタメン出場した。他の外野メンバーを見ても、井領雅貴は左の代打、武田健吾は守備固めの色合いが濃くなっている。

グランドスラムも飛び出すなど、5月に入って打率.412と好調な根尾。ただ、開幕直後からバット以外でもチームに貢献してきた事実がある。突出しているのは守備面。セイバーメトリクスの指標などを用いてデータ分析などを行う株式会社DELTAの指標を見るとよく分かる。

「UZR」では規定到達の左翼手で12球団トップ【写真:荒川祐史】

守備の総合指標「UZR」では規定到達の左翼手で12球団トップ

平均的な選手と比べ、どれだけ失点を防いだかを示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」では、規定に達した左翼手で堂々の12球団トップ。1000イニング換算した数字では「14.0」で、次点のロッテ・荻野貴司の「9.4」からも大きく離れている。

実際、4月6日のDeNA戦(同)ではレーザー送球で本塁生還を阻止する好プレーも披露。自身は遊撃でのレギュラー奪取を掲げてきたが、持ち前の強肩で今や欠かせない外野の一角となっている。UZRでは送球による貢献や走者の進塁を抑止した評価も加味されるため、“見えない部分”でもチームを支えていることを証明している。

チームは5月に入ってここまで3勝3敗の五分。9日の広島戦(同)に勝利し、4位に浮上した。これまで守備で役目を果たしてきた根尾が根尾が打席でも躍動するようになれば、チームにさらなる勢いがつくのは間違いない。(Full-Count編集部)

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