修学旅行は中止でも…首里城の復興を願い折り鶴でアート 武蔵野高3年生

 【那覇】東京都の武蔵野高校の3年生と教員がこのほど、折り鶴で首里城を描いた「首里城アート」を作った。首里城再建や平和への願いを込めた。3年生は4月の修学旅行で沖縄を訪れ、首里城アートと千羽鶴を寄贈する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止された。作品は、6月に修学旅行で沖縄を訪れる2年生に託し、首里城公園に寄贈する予定だ。

 武蔵野高校は復帰前の1967年から沖縄への修学旅行を続けている。第1回の旅行は船などを乗り継ぐ約2週間の長旅で、パスポートも必要だった。同校の花本秀雄教諭(那覇市出身)は「米軍基地に占拠され、日本の矛盾が集約されている沖縄の現状を見せたいという思いが当時あったようだ」と話す。

 3年生は当初、昨年6月に沖縄を訪れる計画で、卒業生から集めた首里城再建の募金も届ける予定だった。だが緊急事態宣言で今年1月に延期され、さらに4月に延びた。

 同校は毎年、ひめゆり平和祈念資料館に千羽鶴を贈っている。今回は首里城再建の願いを込め、首里城アートも製作した。1月に作り始め、2月後半に完成した。作品は縦約80センチ、横約115センチ。約5万5千羽の折り鶴を使った。

 だが4月に東京と沖縄にまん延防止等重点措置が適用され、3年生の修学旅行は中止となった。学年主任の教諭は泣きながら生徒に報告し、生徒たちも涙を流したという。

 花本教諭は「2年生に託すことにはなるが、首里城復興への思いを現地に届けたい」と話した。3年生で生徒会長の英(はなぶさ)真実さんは「中学の修学旅行で沖縄を訪れたこともあり、首里城が燃えた時はショックだった。直接届けられず残念だが、後輩の修学旅行は実現できたらいい」と願った。

© 株式会社琉球新報社