現場の最前線は後回し…ワクチン接種の本末転倒ぶりに専門家「納得いかない」

河野太郎ワクチン担当大臣

ワクチンを接種してくれる医師や看護師が、まだワクチンを打てていない? 菅総理が「一日100万回」「7月までに高齢者への接種を終わらせる」と、根拠がないとも言われている大風呂敷を広げたが…。

現時点での医療従事者へのワクチン接種率は、1回目を打ち終えた人が全体の約62%ほど、2回目を終了した人は約24%程度だという。この数字が意味するのは、1回でも打ち終えた医師、看護師だけで高齢者へのワクチン接種が7月中に終わらせられるのか、ということ。

河野太郎ワクチン担当大臣は先日「自衛隊の医官、看護官の助けを借りて大規模接種を5月末から始める」と宣言したが、自衛隊員のワクチン接種は優先されてない。つまりは大規模会場でもワクチンを打っていない医官、看護官がお年寄りに接種することになりそうだ。

こんな状況に不安の声を上げたのが、池袋大谷クリニックの大谷義夫医師だ。11日のテレビ朝日系ワイドショー「モーニングショー」に出演した大谷医師は「コロナ患者を診ているクリニックの医師よりも〝発熱患者お断り〟の病院のシステムエンジニアや秘書、栄養士が先に接種しているのは納得がいかない」と憤りをみせ、ワクチンを打つ医師、看護師が未接種という〝本末転倒〟な状況に「順番が違うといった不安の声は多数いただいております」とした。

コロナ患者を受け付けない大病院の秘書やエンジニアが接種済みなのに最前線で頑張っている医師や看護師が未接種というなかで、高齢者へのワクチン接種が7月中に終わるとは思えない。

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