“三大耐久レース”のスパ24時間、2021年は延期なし。予定どおりの日程で開催へ

 世界三大耐久レースのひとつに数えられるトタル・スパ24時間レースの主催者であるSROモータースポーツ・グループは、レースの開催延期を検討していたが、当初の予定どおり夏季にイベントを行う計画だ。

 今季のトタル24時間は7月29日から8月1日までの日程が予定されており、イベントのゼネラルマネージャーはこの有名なGT3耐久レースに観客が参加できる可能性があるという“希望の光”を持っていると述べている。

 フランスのモータースポーツ情報サイト『Endurance-info』によると、プロモーターであるSROモータースポーツ・グループはIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジと、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの1戦として行われるスパ24時間を夏に行う計画を維持しているという。

 イベントマネージャーのローラン・ゴーディンとSROのボスであるステファン・ラテルは先週末、マニ-クールで行われたGTWCヨーロッパ・スプリント・カップの開幕ラウンドにおいて、ベルギーの新型コロナウイルス規制が緩和されつつあることとスパのスケジュール変更によって引き起こされる混乱を考慮し、レースを当初のカレンダーから移動しないよう求められた。

 ベルギーを含むいくつかのヨーロッパ諸国は、COVID-19の感染者が冬に増加したことを受け、社会的制限の強化からの出口戦略を実施している最中にある。

 ベルギーでは5月1日にスパで開催されたWEC世界耐久選手権の開幕戦で証明されているように、スポーツイベントの開催は可能だ。しかし現在のところ、それは無観客でのみ許されている。

 そうしたなか、SROは新型コロナ関連の制限が緩和されるなかでのステータスを保証するため、また観客やスポンサーの代表者、その他のゲストが参加する機会を増やすために、スパのイベントを2カ月程度延期することを検討したことが知られている。

 昨年、スパ24時間はベルギーでの大規模な集会やイベントの開催が禁止されたため、従来の7月下旬から10月24~25日に延期された。

「社内では2020年のように健康危機の状態に応じてイベントの日付が変更される可能性があることを話していた」と語ったゴーディン氏。

「しかし検討の結果、当初の日程を維持することが決まった。私たちは一般客を適切な衛生状態で迎えるための尺度を持つことをに期待し、制限解除計画に従っている」

「SROモータースポーツ・グループは14のチャンピオンシップを開催しており、(昨年のカレンダー変更は)ADAC GTマスターズとの合意(イベントを衝突させないこと)は言うまでもなく、他のシリーズにも影響を与えただろう」

「GT4ヨーロピアンシリーズ、ランボルギーニ・スーパートロフェオ・ヨーロッパ、ルノー・クリオ・ヨーロッパ、TCRヨーロッパ、TCフランスなどの(サポート)シリーズはもちろん、シーズンの終了時期を変更することで日程の調整は複雑になった」

2020年シーズンのスパ24時間は、従来の7月下旬から10月24~25日に延期され秋のイベントとなった

■2年連続で無観客なら財政危機に

 7月22~23日に行われるスパ24時間公式テストと、7月24~25日に同じ会場で実施されるインテリジェントマネー・ブリティッシュGT選手権の海外ラウンドも本戦と同様に、予定どおり実施される予定だ。

 スパ24時間を予定した時期に開催するように呼びかけたのは、ACOフランス西部自動車クラブが今季のル・マン24時間レースを8月21~22日に延期すると宣言した直後で、その後ACOのピエール・フィヨン会長は何らかのかたちでファンのアクセスが可能になるという自信を示している。

 なお、ゴーディン氏の慎重な見通しにもかかわらず、ファンがスパに入場できるかどうかは未だ不明のままだ。

 ラテル代表は以前、SROが2年連続で無観客のスパ24時間を開催する用意があることを示したが、それがグループにとって「財政上の災害」になることを認めている。

 新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから開催されたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのイベントは、ただひとつを除きすべてが無観客で実施されてきた。例外は昨年9月、ニュルブルクリンクで行われたエンデュランス・カップの1戦のみだ。

2020スパ24時間レースは無観客で実施された

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