ニホンイトヨリ、やっぱり日本にいた 種子島沖で採集、国内初確認 誤認の疑い200年ぶりに晴れる 鹿児島大など研究チーム発表

種子島沖で採集され、国内初確認となったニホンイトヨリ(鹿児島大学総合研究博物館提供)

 やっぱりニホンイトヨリは日本にいた-。鹿児島大学総合研究博物館とかごしま水族館の研究チームは11日、種子島沖で採集したイトヨリダイ科魚類を「ニホンイトヨリ」と特定、国内で初確認したと発表した。200年以上前に日本産と誤認されたことにより命名されたが、国内で見つかっていなかった。

 同チームの論文が、4月30日付の日本魚類学会発行の魚類学雑誌電子版に掲載された。

 ドイツの魚類学者が1791年、日本産と誤認した標本を新種として発表。学名は「ネミプテルス・ジャポニカス(日本のイトヨリダイ)」、1938年に和名「ニホンイトヨリ」となった。しかしその後の研究で、標本はインドネシアのジャワ島周辺で採集された可能性が高いことが分かっていた。

 種子島沖で採集された魚は昨年1月、西之表港で美座(みざ)忠一(ただかず)さん(70)=西之表市=が釣った。知人を介して同博物館の本村浩之教授(47)=魚類分類学=に提供。体長約30センチで、尾びれの上部が長いことや腹部に黄色い線が入っていることなどから特定された。

 論文の筆頭著者で、同水族館職員の中村潤平さん(25)は「台湾から黒潮に乗って種子島に定着したものと考えられる。情報提供に感謝。やっと日本で見つかり喜ばしい」と語った。

無数の魚類標本が並ぶ保管庫=鹿児島市の鹿児島大学総合研究博物館

© 株式会社南日本新聞社