鷹・工藤監督が〝大荒れ160キロ右腕〟杉山を起用し続ける理由

2番手で登板し自己最速160キロをマークした杉山

大荒れ続きでも起用し続けるワケとは――。ソフトバンクの杉山一樹投手(23)が11日のロッテ戦(ペイペイ)に2番手として登板。球場を大いにザワつかせた。

3点を追いかける8回に相手1番からの好打順でマウンドに立った。自己最速の160キロをマークする一方で、制球に苦しみ四球を連発。1イニングで3四球を与える大荒れの投球だった。降板後は「スピードが出たことよりも四球を出してしまったことを反省したい」と口にした。

杉山の乱調は今回だけではない。11試合で与四球率(1試合に投げた場合の四球数)は17・36。1イニングに何人の走者を出すかを表す数値であるWHIPは2・46だ。防御率は何とか2・89に収まっているとはいえ、この日も相手の盗塁死に助けられるなどヒヤヒヤの投球が続いている。

本来なら二軍で制球を磨かせる選択肢が無難にも思える。むしろそのほうが簡単だ。常勝が義務付けらている中で、それでも一軍で使い続けることについて、過去に工藤監督はこう思いを口にしたことがあった。

「『エッ?』と思う場面で出すかもしれないが、それは彼の今ではなく先を考えてのこと。ダメならダメな経験でもいい。一軍じゃないと打たれて『アーッ』とならない。一軍で経験しないと(ハートが)強くならない。そういう経験を杉山君にさせたい。あれだけの球を投げる投手はそうはいない。自信を付けさせたい。彼が一人成長するだけで(投手陣全体のレベルも)全然変わる」。

和製サファテとも目される未完の大器。期待に応えられるか。

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