【放送事故】にご注意!女性アスリートわいせつ画像サイト摘発 女子アナも被害

五輪を前に抑止力となるか

女性アスリートを苦しませるわいせつサイトを根絶できるのか。テレビ番組からとった女性アスリートの画像をアダルトサイトに無断転載したとして、警視庁保安課が11日に自称ウェブデザイナーの小山幸祐容疑者(37)を著作権法違反の疑いで逮捕したことをスポーツ界が歓迎している。女性アスリートを性的な視点で切り取った画像や映像は問題視され続けてきた。波及効果はアスリートにとどまらなそうだ。

逮捕容疑は2019年5月18日ごろ、テレビのスポーツ番組から切り取った女性アスリートの画像39点を小山容疑者が運営するアダルトサイトに無断で転載し、不特定多数の人が見られる状態にして、テレビ局の著作権を侵害した疑い。同容疑者は9つのサイトを運営しており、11年2月から今年3月までに広告収入として計1億2000万円以上を得ていた。最近では月100万円もの収入があったという。

サイトでは女性アスリートの画像に「エロハプニングシーン」「放送事故」などの言葉を付けていたという。完全にエロ目線だったわけだ。小山容疑者は逮捕前の聴取に「悪いことと分かっていたが、捕まるとは思わなかった」と話していたというが、逮捕後は黙秘している。

保安課によると、日本オリンピック委員会(JOC)の情報を基に立件に踏み切ったのは全国で初めて。JOCの籾井圭子常務理事は「アスリートが置かれている状況を何とかせねばという思いでやっていただき、ありがたい」と逮捕のニュースを歓迎した。

女性アスリートに対するネットでのわいせつな書き込みや、競技中の盗撮などが問題となっていた。赤外線盗撮や、胸や下半身などの性的な画像を集めたサイトが乱立するなど、被害者は多数にのぼる。最近になってようやく社会問題として広まったところだ。

こうしたアダルトサイトを閲覧するマニア男性は「昔からマニアはいたと思いますが、近年になって女性アスリートのユニホームが大胆になって、露出が多くなったことでよりマニアが増えました。体操の田中理恵選手やビーチバレーの浅尾美和選手のような人気のあるアスリートの存在も大きいです。サイトの摘発は五輪を見据えた見せしめでしょう」と話した。

今後、こうしたサイトはなくなるのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「見せしめの事例として抑止につながるはずです。(名誉毀損でなく)著作権法でやるのは、からめ手というか正面からやっていない感じはしますが、それでも著作権法でもやれるという先例になる。警察はこうしたサイトを一掃するつもりでしょう」と指摘した。

しかも、影響はスポーツ業界だけにとどまらない。「テレビ番組からキャプチャーした画像を使ったアダルトサイトには、女性タレントや女子アナウンサーの画像も多い。今回、著作権法違反で摘発できたのなら、当然、タレントや女子アナの画像も同じようにやっていいのでは?」と井上氏は指摘した。

小山容疑者は9つのサイトを運営していたというが、これはよくあることだという。「お互いのサイトにリンクを貼って誘導し合っているのです。芸能事務所やテレビ局からするとサイトの数が多すぎて対処できないように見えますが、実は運営しているのは1人で、芋づるで潰せるかもしれません」(井上氏)

こうしたアダルトサイトは今後、減少していきそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社