赤木ファイルめぐり国が“塩対応” 赤木さん妻「とても悲しい1日」

国の対応を悲しんだ赤木雅子さん(手前)

喜び一転…。「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(54=当時)が、決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、妻の雅子さん(50)が国と佐川宣寿元国税庁長官(63)に、計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の進行協議が12日、大阪地裁で行われた。

国は6日、俊夫さんが改ざんの過程を書き残したとされ、原告側が提出を求め続けてきた〝赤木ファイル〟について、存否すら明らかにしてこなかった方針を一変、ファイルの存在を認め、マスキング処理の上、次回期日の6月23日には提出する予定との意見書を出した。

麻生太郎財務相(80)は11日、赤木ファイルの存在を「4月20日ごろに報告が上がってきた」と述べる一方で、再調査は必要ないとの認識を示した。

そうした中で行われたこの日の進行協議だったが、国側の対応は不誠実そのもの。原告側代理人によると、「マスキングはできるだけしないで」との要望には「意見書の通り」。赤木ファイルに関する質問に対しても「訴訟に関連性がなく答えることができない」との回答が多かったという。

また、提出が次回期日〝には〟とあることから、原告代理人は「法廷でいきなり渡され、『これは何?』と延々と聞くなんていうこともありえるかもしれない。普通はありえない。さすがにそんなことはしないと信じたいが…」と警戒した。

赤木ファイルの存在が明らかになり喜んでいた雅子さんも、この日の協議には「とても悲しい思い、不信感を持ったし、傷つけられた気持ちです。夫は国にさせられた改ざんを苦にして亡くなったんですけど、亡くなった後も苦しみ続けなくてはいけない今の状況をどんなふうに見ているのだろう。どう報告していいのか…とても悲しい1日になりました」と語った。

麻生氏や国の対応については「イジワルされている感じがします。(ファイルも)23日ギリギリまで出してこないと思うし、マスキングもしてくる。国は本当、不誠実だなと思う。夫が一体何を残しているのかと思うし、こちらにないものなので、向こうが出したとしても、それがすべてなのか確認のしようがない。目に見えないものを探し当ててる感じで不安定です」と国に翻弄される気持ちを吐露。

続けて「夫は改ざんをしました。マスキングもしてたと思う。夫にはマスキングをさせておいて、それを知りたいということに、またマスキングをしようとしている。怒りを感じる。作業をさせられている人たち、本当のことをしゃべれない人たちのことをもう少し国は考えてほしい。夫のような人が二度と出ないようにしっかり仕事をしてほしい」と訴えた。

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