映画『くれなずめ』- 放課後みたいなダラダラは、奇跡を終わらせたくない! という彼らの思いだ

放課後みたいなダラダラは、奇跡を終わらせたくない! という彼らの思いだ

新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みて公開延期となっていた松居大悟監督の『くれなずめ』が、5月12日からいよいよ公開。松居監督といえば若手俳優からイキイキとした存在感を引き出した作品が顕著だが、本作もまさしく。若手俳優がイキイキと、まるで本当に高校時代からの友人たちのようだ。

高校時代、帰宅部だった男子6人が、友人の結婚式のため久し振りに集まる。披露宴での余興の赤い褌で踊る“赤ふんダンス”の打ち合わせをする結婚式前夜と、披露宴が終わり二次会までの数時間に起こった奇跡の物語。

ウルフルズの「それが答えだ!」で踊る赤ふんダンスは、もともと高校時代の文化祭の彼ら帰宅部の出し物。その時から現在までのいくつかの出来事が、二次会までの短い時間に去来する。6人がとても魅力的。カッコイイという意味での魅力的ではなく、同じクラスにこういう人いたな、でも名前なんだっけ? っていうリアリティという意味で魅力的。クラスの中ではきっと目立たないタイプの6人だが、それぞれ実に個性的。高校の文化祭から12年経って30才近くなってもノリは10代のよう。中でも成田凌。最近は老け役もこなす成田凌だが、所在無いような仕草の長い手足とか時折見せるきょどった表情とか、本当に高校生のようで、「吉尾さん(成田凌の役名)、ホント変わんないっすね」とハマケン(浜野謙太)演じるソースに言われる。

二次会までの数時間、6人は、はしゃいだり、じゃれ合ったり、グダグダダラダラして過ごす。まるで高校生の放課後のよう。まるで現実社会から逃避しているよう。そこに現れたミキエ。真面目で気が強くて、高校時代はきょどる吉尾を

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