【薬剤師をコロナワクチンの打ち手に】「河野大臣に要望提出の算段ついた」/署名活動展開の八重樫医師が会見

【2021.05.12配信】薬剤師を新型コロナワクチンの打ち手として認めることでワクチン接種の迅速化を求めた署名活動を展開している八重樫牧人氏(亀田総合病院総合内科部長)が5月12日に厚生労働記者会で会見を開いた。活動への理解を求めるとともに、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種担当の河野太郎大臣に要望書を提出する「算段がついた」として、近く提出の見込みであることを明かした。

開始から2週間で2万筆

4月23日に開始された署名活動は、わずか2週間で2万筆を集める勢いだ。
5月12日時点で2万3000筆を超えている。
https://www.change.org/p/%E7%94%B0%E6%9D%91%E6%86%B2%E4%B9%85%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%A4%A7%E8%87%A3-%E8%96%AC%E5%89%A4%E5%B8%AB%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8C%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%92%E6%8E%A5%E7%A8%AE%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%97%E3%82%88%E3%81%86

八重樫氏は会見で、改めて薬剤師を新型コロナワクチンの打ち手として認めることで、ワクチンの迅速な接種が可能になることを強調。シンクタンクでは7割が接種し集団免疫を獲得するまでに2022年春までかかる可能性があるとの調査もあるとし、「打ち手不足がボトルネックになってはいけない」と話した。

アメリカ、イギリス、フランスなどでは実際に薬剤師がコロナワクチンの打ち手になっていることを紹介し、「問題よりもメリットのほうが大きい」と指摘した。

仮に認められた場合の手技習得にかかる想定期間を記者から聞かれると、「カナダで働く薬剤師さんに聞いたところ、1日で十分だったと聞いている。注射自体はインスリンを自己注射している患者さんもいるし、筋肉注射に関しても自分自身も行っているが、難易度は高くなく、1日程度で大丈夫だと思う」との感触を述べた。

今後の展開については、河野太郎大臣に要望を提出する「算段がとれている」として、近日中に提出を見込んでいるという。「特例的に認めるという方向性であれば、関係者も認めやすいので、そういった方向を含めて仕組みを変えていただくことで、早く打つ仕組みを考えていただくことを国に要請していきたい。貢献したいと思っている薬剤師の方がいる中で、それをおさえるようなことは望ましくない」(八重樫氏)した。

日本薬剤師会などの職能団体との意見調整は行っているのかという質問が出ると、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会には、この活動に賛同してもらえるよう請願書を渡したと明かした。提出先の団体の反応については、「非公式なものなので、私から伝えることは適切ではない」と明言は避けた。

薬学部ではどの程度、注射に関する教育がなされているのか質問が出ると、会見に同席した昭和薬科大学教授の渡部一宏氏は、「注射への調製などの手技はどこの薬学部でも教育している。注射は医行為のため、教育することができないのが現状だが、それでも、筋肉注射に関する知識についても教育しており、手技のトレーニングを加えれば、力になれると思っている」と話した。

実際の実現性については、「医療従事者が協力することが大切になるが、東京都医師会の尾﨑会長も薬剤師さんによるワクチン接種を認める意向を示されている」として、追い風があるとの認識を示した。

具体的な導入に関しては、「すぐに全国一律に行うのではなく、例えば一部の地域で認めて、その後、地域を広げていく手法もあるのではないか」との考えを示した。

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