食品ロス、2025年度に10%削減目指す 長崎県が推進計画策定

 長崎県民の1日当たりの食品ロス発生量は「コンビニおにぎり1個分」-。県は本年度から5年間の「食品ロス削減推進計画」を策定。2025年度に10%削減を目標として掲げ、県民の「もったいない精神」の醸成やフードバンク活動の支援などを強化していく。
 食品ロス問題は国際的に関心が高まっており、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」の項目の一つ。
 県資源循環推進課によると、県内における1日当たり発生量(19年度)は、一般家庭から排出される「家庭系」が64グラム、食品製造や外食産業などから排出される「事業系」が44グラム。合計した108グラムは、コンビニおにぎり1個分やプリン1個分の重さに相当するという。家庭系は全国平均の61グラム(17年度)を上回っている。
 計画策定に先立ち、県は昨年10月、アンケートを実施し、県民315人から回答を得た。食品ロス問題の認知度は95%を超え、同課の担当者は「言葉自体は浸透している。あとは身の回りでできることをいかに取り組んでもらえるか。目標達成には県民の意識向上が鍵」と話す。
 家庭系の削減に向けて、「もったいない精神」を養う食育強化のほか、関連イベントやホームページでの情報発信など啓発に力を入れていく。

 一方、事業系の削減に有効で貧困対策にもつながるフードバンク活動の支援も強化する。同課によると、県内では長崎、佐世保両市で民間のフードバンク団体が活動。事業者や個人から提供された食材や生活必需品を、ひとり親家庭、こども食堂、福祉施設などに届けている。
 ひとり親家庭を総合的に支援する「つなぐBANK」を運営している一般社団法人ひとり親家庭福祉会ながさき(長崎市)の山本倫子事務局長は、「つなぐ」のノウハウを生かし、県内にフードバンクの拠点を増やしていく構想を描く。対馬市には4月、現地の社会福祉協議会と連携する形で立ち上げた。
 県は拠点拡充に向け、新たな食品提供事業者を掘り起こし団体につなぐなど側面支援をしていく予定。
 山本事務局長は「取り組みは食品ロス問題の解消だけでなく、災害備蓄品の拠点やまちづくりにもつなげられる。各地に合った支援体制を構築していきたい」としている。

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