「何者かになりたい」の問題点と対処法! 書籍『何者かになりたい』刊行決定&予約開始!

イースト・プレスは2021年6月14日(月)に『何者かになりたい』(熊代亨 著)を刊行。「自分」に満足できないのは、 なぜだろうか。〈承認欲求〉〈所属欲求〉〈SNS〉〈受験・就職〉〈恋愛・結婚〉〈地方・東京〉〈親子関係〉〈老い〉アイデンティティに悩める私たちの人生、 その傾向と対策。

「はじめに」より

自分とは、 いったい何者なのでしょうか。 小さな子どもは自分が一体何者なのか、 自分とはどういう人間なのかを深く考えることがありません。 自分が何者なのかを知らなくても困らないまま、 小さな子どもはそのままでいられます。 ところが成長し、 思春期を迎える頃にもなると、 私たちは自分についてあれこれ考えはじめます。 自分はこんな風になりたい……なりたい自分になれていない……こんなことを考える動物は、 思春期以降の人間をおいてほかにありません。 この本を手にするあなたも、 「自分は何者なのか」「自分は何者になれるのか」考えたり悩んだりするのではないでしょうか。 それともあなたは、 名声や地位を確立した人と自分自身を見比べて「自分はまだ何者でもない」と落胆したり、 「自分は何者にもなれそうにない」と焦っていたりするかもしれません。 そうした落胆や焦りは思春期特有のものではなく、 時には中年の男女がそう思うこともあります。 どうして私たちは自分についてこんなに考えてしまうのでしょう? どうして私たちは「何者かになりたい」と願い、 「何者にもなれない」と悩むのでしょう? この本では、 こうした願い・悩みを「何者問題」と呼び、 その分析と解決策の考案を行っていきたいと思います。 この何者問題については、 20世紀の心理学者や精神科医の先達がさまざまなヒントを書いています。 たとえば私が自分について考えずにいられなかった頃、 小此木啓吾という精神科医が書いた『モラトリアム人間の時代』という本を読み、 自分の成長戦略のヒントにさせてもらいました。 この『モラトリアム人間の時代』は優れた解説書ですが、 出版されたのが1978年と古く、 さすがに今の時代には合わない部分も出てきています。 また、 全体的に文章が硬く感じられ、 読みにくいと感じる人もいらっしゃるかもしれません。 そこで私は、 2020年代にふさわしい内容と文体の何者問題についての本をつくろうと考えました。 バブル景気が崩壊する前と後や、 スマホやSNSが当たり前になる前と後では、 私たちのコミュニケーションも、 社会状況もかなり違っています。 それに伴って、 「何者かになりたい」ときに頼るべき手段も、 「何者にもなれない」と悩んでいる人が注意しなければならないことも、 変わってきていると私は見ています。

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