みんなの笑顔を乗せて「坂バス クラウド<ファン>ディング」 神戸のコミュニティバス

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神戸・摩耶山上へのアクセスライン「まやビューライン(ケーブルカーとロープウエー)」と、ふもとの神戸市灘区とをつなぐコミュニティバス「まやビューライン坂バス」。コロナ禍による乗客減が続く坂バスを応援しようと、地元住民たちが笑顔で立ち上がった。

「坂バス」のダイヤ変更とクラウド<ファン>ディングのお知らせ(提供:摩耶山再生の会)

◆補助金ゼロのコミュニティバス「坂バス」

2020年11月からダイヤ減便(20分→40分毎)を余儀なくされた「坂バス」は、神戸市のバス会社・みなと観光バス株式会社による民間運営のコミュニティバスだ。2013年の運行開始以来、国や自治体からの補助金が一切ないなかで黒字を達成した、全国でも珍しいコミュニティバスである。

その運行を支えるのは、日本三大夜景や名刹・摩耶山天上寺で知られる摩耶山を訪れる人たち、そして、高低差が大きい神戸の「南北移動」で日常使いする地元住民たち。近畿圏内で唯一、商店街のアーケード内も通るというルートのユニークさから、「乗っているだけで楽しい」と、地元以外にもファンが多い。

水道筋・灘中央筋商店街を通る「坂バス」(撮影:水野さちえ)

「地元住民の生活の足を支えたい」と2021年5月から減便ダイヤを改定し、便数を増やした「坂バス」だが、乗客減という厳しい状況は続いたままだ。その坂バスの思いに応えようと、市民団体「摩耶山再生の会」と神戸市の灘区役所がコラボし、「坂バス クラウド<ファン>ディング」を立ち上げた。

南北移動する「坂バス」の路線図と時刻表(提供:摩耶山再生の会)

◆「坂バス」の、「坂バス」ファンによる、「坂バス」ファンのための「<ファン>ディング」

「坂バス クラウド<ファン>ディング」では、1口500円の寄付で、6センチ四方の顔写真を「坂バス」の車体にディスプレイすることができる。窓口となる「摩耶山再生の会」が、写真がある程度集まった時点でラッピングシートに印刷し、みなと観光バスに渡す。それが順次、「坂バス」の車体に貼られていく。摩耶山再生の会事務局長の慈憲一さんによると、実施期間は「車体に貼るスペースがなくなるまで」。参加時期が早いほど、長期間ディスプレイされる仕組みともいえる。

ディスプレイイメージ(提供:摩耶山再生の会)

4月の開始以降、SNSや口コミを通じて寄付者はじわじわと増えている。「個人はもちろん、地元企業(萩原珈琲)の社員全員やNPO法人など、団体からの寄付も集まっています。営利目的でなければ、ペットの写真でも大丈夫ですよ」と慈さん。第1弾が、5月15日(土)から運行予定だ。

坂バスの運行支援に使われる予定の寄付金も、「乗客に楽しんでもらえるような使いみちになるよう、アイデアを出していきたい」とのことだ。

単なる資金調達(funding=ファンディング)にとどまらず、坂バスの「ファン(fan)づくり」も目指す「坂バス クラウド<ファン>ディング」。地元からでも遠方からでも、笑顔を届けて坂バスを応援していきたい。

(取材・文=水野さちえ)