開催が危ぶまれるF1トルコGP。アゼルバイジャンが日程交換案を拒む

 2021年カナダGPを中止し、代替レースとしてトルコGPを6月13日の枠に追加するという発表が4月に行われたが、現在、トルコGPの開催が危ぶまれている。

 カナダGP中止の理由は新型コロナのパンデミックのなか、政府がすべての入国者を14日間隔離させるという措置を実施しているためだ。皮肉なことに、トルコGPも隔離要件のために開催が不可能になるかもしれない。

 F1の10チームのうち7チームがイギリスを拠点としており、そのイギリスでは政府が新型コロナウイルスが流行していることから渡航を避けるべき国の『レッドリスト』にトルコを追加した。トルコを訪問した後にイギリスに入国する者は全員、政府承認のホテルで10日間の隔離期間を送らなければならない。

 6月4日から6日にアゼルバイジャンGP、6月11日から13日にトルコGPと2週連続開催で行われた後、6月25日から27日にフランスGPが予定されている。トルコでの決勝とフランスでの金曜日のフリー走行まで12日間あるが、チームがトルコからイギリスに戻り、10日間の隔離を終え、その後フランスに向かって金曜日までにすべての準備を終えることは難しいだろう。

 トルコGPとアゼルバイジャンGPの日程を交換し、トルコでのグランプリを1週間早く実施すれば、F1関係者はトルコ国外で十分な日数を過ごすことができ、イギリスに戻った際の厳しい隔離措置を回避することができる。

 しかしアゼルバイジャンGPの主催者は、日程変更を拒んでいる。バクーでは6月2回目の週末にサッカーEURO2020の試合が予定されているためだ。

2019年F1アゼルバイジャンGP

 日程を変更できないとすると、チームスタッフはトルコGP後にイギリスに戻らずに次のフランス、オーストリアの連戦に向かうしかなくなる。そうなると彼らは約6週間にわたり、帰国できないことになる。

 この案は受け入れられないと、ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは語った。

「何事も不可能なことはないが、人に何かを頼むには限度がある」とシュタイナー。
「相手を尊重しなければならない。スタッフを6週間家に帰さないわけにはいかない。それは公平なことではないと思う」

「仕事をするのは良いことではあるものの、その後のスケジュールも楽なものではない。昨年も大変だったが、今年の終盤も厳しいものになるだろう。予定しているすべてのレースが実施されることを願っているが、そうなると合計23戦だからね」

「今後2カ月にわたってレースをし続け、家に帰らないという選択肢はないと考えている」

 メルセデスF1チーム代表のトト・ウォルフは次のように述べている。

「まず第一に、世界のどこであれ、2週間ホテルに隔離されるのが楽しいことではないのは明らかだ」

「(F1のCEOである)ステファノ(・ドメニカリ)が、どのようにするか対策を検討するだろう。見通しが明確になれば、誰を現場に残し、誰を帰宅させるかを決めることができるだろう」

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