ロズベルグ、『2世』ドライバーの先輩としてミック・シューマッハーにアドバイス

 2021年シーズン、ハースからF1デビューを果たしたミック・シューマッハーは、4戦を終えて全戦を完走。安定感に限っていえば、ルーキー3人(ニキータ・マゼピン、角田裕毅)の中でもベストといえる成績を残している。さらに第3戦ポルトガルGPでは決勝でニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)をオーバーテイク、第4戦スペインGPでは予選でもラティフィを上回ってみせるなど、現在も上り調子にある。しかしそんなミックについて、ニコ・ロズベルグはミハエル・シューマッハーのようになるのは難しいと考えている。

 2016年のF1ワールドチャンピオンであるニコ・ロズベルグ。スカイ・スポーツ・イタリアの中継に登場した彼は、ミックについて聞かれると「彼の父と同じレベルに達することは極めて難しい」と語った。まだF1で4戦を走ったばかりのルーキーには厳しい発言に聞こえるが、ロズベルグの真意はミックの力量を批判することではないようだ。彼はこう続ける。

「ミハエル・シューマッハーは歴代最高のドライバーだ。誰もが彼とミックを比較するが、これはミックにとって重圧だ」

 メルセデス時代にはチームメイトとしてミハエルの走りを間近で見ていたロズベルグ。彼にしてみれば、ミハエルはミックだけでなくどんなドライバーをもってしても並び立つことのできない存在なのだろう。ミックと同様、ワールドチャンピオンである父ケケ・ロズベルグを持つだけに、むしろ彼の発言は『2世』ドライバーとして常に偉大な父と比較されるミックの境遇に対する同情というのが近い。

 そのうえでロズベルグは「チームメイトのデータを活用して学ぶべき」だとミックにアドバイスする。しかし、ハースふたりの関係はあまり良好ではないのが現実だ。

 ハースでのミックの同僚、ニキータ・マゼピンはドイツの放送局RTLのインタビューでチームメイトとの仲を明かしている。マゼピンによれば、ミックとは「プロフェッショナルな関係」だという。

 つまり、あくまでも仕事上の関係にあるというミックとマゼピン。「お互いに意見交換したりはするか?」という質問に対しても、マゼピンは「イエスといえば嘘になる」と答えている。どの程度データの共有を行っているかは定かではないが、少なくともコミュニケーションは、ほぼ行われていない様子。ロズベルグのアドバイスを実践することは簡単ではなさそうだ。

ミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピン(ハース)

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