【韓国】韓国とイスラエル、FTAに正式署名[経済]

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韓国はイスラエルとFTAに正式署名した(韓国産業通商資源省提供)

韓国政府は12日、イスラエル政府との自由貿易協定(FTA)に正式署名した。発効すれば、韓国の主力輸出品である自動車の関税が即時撤廃されるため、同産業が最も大きな恩恵を受ける見通しだ。半導体製造装置も無関税で輸入できるようになるため、半導体業界のコスト競争力も高まるとみられる。年内の発効を目指す。

発効が完了すれば、韓国はイスラエルとFTAを結んだアジアで最初の国となる。両国の貿易額は2020年時点で24億米ドル(約2,600億円)規模で、韓国からの輸出が全体の3分の2を占めている。

FTAが発効すれば、品目ベースで韓国は95.2%、イスラエルは95.1%の関税をそれぞれ撤廃する。輸入額ベースでの関税撤廃率は、韓国が99.9%、イスラエルが100%となる。

とりわけ韓国側が最大の成果としているのが、イスラエルへの輸出額(20年基準)の47%を占める自動車(関税率7%)に課せられた関税の即時撤廃だ。

韓国産業通商資源省によると、イスラエルの輸入自動車市場(金額ベース)は、シェア17.6%でトップの韓国を、2位の日本(15.2%)と3位のトルコ(13.1%)が追う構図となっている。同省は、今回のイスラエルとのFTAで価格競争力が高まり、20%以上のシェア確保も可能だとしている。

自動車部品(同6~12%)も即時撤廃される。このほかにも繊維(同6%)、化粧品(同12%)に課されている関税が即時撤廃される。

■ハイテク産業に恩恵大

韓国は、対イスラエル輸入品目の17.6%を占める半導体製造装置の関税を即時撤廃する。19年に日本が半導体材料など対韓輸出管理を厳格化したのを機に、韓国政府は日本への依存度が高い部品や素材、設備などの調達先の多角化に力を入れており、今回のFTAを半導体産業の競争力強化につなげたい考え。

半導体製造装置に次ぐ2位品目である電子応用機器(シェア16.0%)の関税は3年以内に撤廃する。半導体製造装置と電子応用機器の関税率は現在、最大で8%水準だ。

■医療機器など敏感品目は保護

韓国は、市場開放による国内産業への影響が大きいと懸念される「敏感」品目については保護できたとしている。

グレープフルーツの関税率は現在の30%から7年、医療機器は8%から最長10年をかけて、それぞれ段階的に引き下げていく。6.5%の複合肥料の引き下げも5年かける。

■サービスも高水準で開放

サービス・投資では、自由化度が高いネガティブリスト方式(自由化を保留する部分を特記する方式)を導入し、世界貿易機関(WTO)のサービス貿易一般協定(GATS)レベル以上の開放を約束した。

両国はまた、市場開放と直結する投資家保護についても、「投資後」のみとしていた内国民待遇・最恵国待遇を「投資前」に適用する。韓国はこれまで、17年にイスラエルの暖房部品メーカーから4,200万米ドル規模、20年には同じく医療設備メーカーから3,000万米ドル規模の直接投資を誘致した実績がある。

最長で63カ月だった韓国人ビジネスパーソンのイスラエルでの駐在期間も、さらに延長できるようにした。

■技術面でも協力強化へ

イスラエルとのFTAは韓国にとって、技術協力部門を独立したチャプターとして採択した初のケースとなった。とりわけスタートアップやベンチャー企業の育成で、イスラエルとの相乗効果を高めたい考えだ。

韓国政府は、イスラエル政府出資のベンチャー・キャピタルであるヨズマ・ファンドが韓国での活動を活発化すると見込む。ヨズマ・ファンドはこのほど、韓国の経済団体である中堅企業連合会と、新たな成長エンジンとなり得る中堅企業の発掘や海外進出支援のための覚書を交わした。

両国は16年5月にFTA交渉開始を宣言し、19年8月に交渉を妥結。署名に必要な国内手続きを終えて今回の正式署名に至った。

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