ステージ5に

 おととしの新語・流行語大賞の候補の一つに、災害にまつわる言葉があった。〈命を守る行動を〉。この年から、災害の「警戒レベル」が、分かりやすく5段階で発表されている▲例えば警戒レベル3は、危険な場所から「高齢者などは避難」、4だと「全員避難」。レベル5では、すでに災害が起こっていて「命を守るための最善の行動を」と、差し迫った感じで呼び掛けられる。ウイルス感染が広がり続け、同じような“警報”がいま県内で鳴り響く▲病床の数にもう余裕がない。長崎大学病院の泉川公一教授は先ごろの会見で「命を守るための行動を取ってくださいという大災害の状況」と言い表した▲今まさに、水害や土砂災害で言えばレベル5に当たるのだと思い知る。感染の広がりを5段階で表すステージが、「4」から最も高い「5」(県下全域での急増)に引き上げられ、県内全体に「医療危機事態宣言」が出された▲災害級の危機にある今は、高齢者向けのワクチン接種が進められる時でもある。その予約を巡って混乱しているが、接種が収束への一筋の光であるのは間違いなかろう▲先にうっすら明かりを見つつも、最大の危機に直面している。それがコロナ禍の「今」だろう。心して、私たち一人一人の「最善の行動」を寄せ集め、積み重ねたい。(徹)


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