ロシアが関与!? 殺人電波兵器で米外交官、CIA関係者ら130人が脳障害

ロシアの情報機関・GRUの本部とされる建物(ロイター)

海外駐在の米外交官らに聴覚障害や脳損傷など原因不明の健康被害が相次いでいる問題で、米紙ニューヨーク・タイムズは12日、この5年間で130人以上が不調を訴えたと報じた。外国勢力によるマイクロ波などを使った攻撃の可能性も指摘され、バイデン米政権は実態解明を急いでいる。米当局者らの話として伝えた。目に見えない攻撃で脳が損傷するとしたらあまりに不気味だが、いったいどのような攻撃の可能性があるのか。専門家が推理したところ…。

同紙によると、これまでキューバや中国を中心に確認されてきた約60件に加え、中国以外のさまざまなアジア諸国や欧州からも報告があった。外交官のほか米中央情報局(CIA)や国防総省、米軍などの関係者で、滞在国は不明。CIAでは昨年12月以降、少なくとも職員3人が深刻な体調不良を訴えた。

国防総省内では、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の関与が疑われるケースがあるとの見方も出ている。ただ米情報機関は原因を特定できておらず、バイデン政権は各省庁に調査担当者を置くなどして全容解明に力を入れている。

この健康被害は2016年以降、キューバ駐在の米外交官らが聴覚障害などの不調を相次いで訴えたのが発端。昨年12月には米専門家委員会が報告書で、マイクロ波などの「指向性パルス高周波エネルギー」が原因として最も妥当との見方を示した。

17年以降、中国広東省広州市の米総領事館職員も類似の症状を報告。米メディアによると、昨年11月には米首都ワシントンのホワイトハウス周辺でも当局者を狙ったとみられる攻撃が発生、当局が捜査している。

都市伝説、陰謀論を想起させるような不気味な攻撃で、捜査しても分からない可能性がある。

科学問題研究家の阿久津淳氏はこう語る。

「戦時中、B29の来襲に悩まされた日本陸軍は、マグネトロンという(機器から発せられる)電磁波で一網打尽にする研究を行いました。出力が足りず結果は出せませんでしたが、ならば“殺人光線”として対象を対人にすると、その研究が電子レンジの原理として実を結んだ」

土地でも、心地よい癒やされる場所を「イヤシロチ(社地)」、気持ち悪くなる場所を「ケカレチ(気枯れ地)」と呼ぶように、地質学的な電磁場が身体に影響することは知られている。それらは「ジオパシックストレス」(地質学的な電磁場が心身に与える影響)と呼ばれる。自然界の電磁波も心身に影響があるのだ。

阿久津氏は「対人兵器システムとしてマイクロ波や低周波兵器を中国や旧ソ連が使用したという話や、米国でも95ギガヘルツのノンリーサルウエポン(非致死性兵器)を使用したという話もあります。また日常でも、心地よい音や不快な音を感じることがあります」。

音の振動を与えると、クラドニ図形が現れる。これは下敷きやピンと張ったラップの上に砂や塩などを乗せて音を流すと現れる図形で、振動で奇麗な紋様ができる。

「この原理を軍事的に悪用すると、第2次世界大戦中のドイツ軍の音波砲となり、また長距離音響兵器(LRAD)となります。不快なサイレンは相手の攻撃意欲をなくさせたりすることも分かっています。LRADは連続照射すると聴覚障害を起こすので、一度に数秒しかできませんが、ソマリア沖の海賊退治や、日本でも2009年2月からシーシェパードに対し使用したこともある。イスラエル陸軍の『スクリーム』も内耳に作用する周波数を使います。医学的には尿路結石を体外から音響で破壊する体外衝撃波結石破砕術という療法もあり、善用すれば計り知れない領域なのです」

物質は粒子と波でできており、音波や電磁波を悪用するも善用するも自由自在だ。電磁波に異常に敏感な人も多くなってきている。

阿久津氏は「5Gの電磁波でムクドリの死骸が大量に見つかったとか、血栓で脳障害が増加したという話も、電磁波兵器や音響兵器の研究を考えると無視できないのでは? 吐き気は内耳に電磁波や音波が作用するからと思われます。波が重なってできる異常に大きな波をソリトン波と呼びますが、そんな兵器があるとイチコロかもしれません。恐ろしいことです」と指摘している。

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